HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

照り焼き布教活動

「ヒロ、冷蔵庫に出前でとったテリヤキ弁当が余ってるから食べてね」とホストのコリーナに言われてすぐに取り出した。テリヤキと言えば照り焼き。醤油の甘辛いタレ。大好物。マックの最高傑作といえば照り焼きマック。

が、ふたを開けてショックを受けた。

これは一言で言ってチャーハンだ。鶏肉はあるけど味付けはただのチャーハンだ。塩とニンニクがメイン。それを「TERIYAKI」と称して販売しているのである。これはこの地の人にとって日本と中国に大差がなく、見分けできないことを悪用したレストラン経営者のマーケティング戦略なのか。どこの人間がどんな戦略で生きようが構わないが、このままでは我が愛しの照り焼きが間違った認識でセネガルに拡散されてしまう。由々しき事態である。

かくしてわたしは「おれが本物を見せてやるよ」とばかりに動き出した。料理に対する自己肯定感は地に落ちているというか地中深く埋まっているが、ことはマイスイート照り焼きに関わっている。動かざるを得なかった。身体が勝手に動いていた。

食べるのは好きだけど作った事はほとんどないので動画やレシピを複数かじってなんとなく肝を把握。醤油と酒とみりんと砂糖。酒とみりんはまとめて白ワインで代用。醤油は中国製のやや劣化(←)品が普及している。それらを使って鶏肉の照り焼きステーキを作った。ついでに肉じゃがも作った。タイ米っぽいお米を普通のお鍋で30分水につけて炊いて蒸らしも行う日本スタイルで炊いた。

実食。なんと、照り焼きを食べたコリーナの反応がとても素晴らしかった。食べた瞬間の電流が走ったかのような感情の弾ける一瞬を確かに目撃。上手くいったようだった。コリーナはご両親がサルディーニャにルーツを持つイタリア人。料理へのこだわりは人一倍強い。その彼女からのお墨付きなのでこれは確実だと思った。旦那のジャカリヤ、シェアメイトのイスマエルも確かな反応をいただいた。みんなこの味は体験したことがなかったということだ。

勝因は白ワインの質だったと思う。たまたま家に置いてあった物が甘さと酸っぱさどちらの方向にも効いてるタイプのものだった。

良い経験だった。地中深く埋まっていた料理に関する自己肯定感が少し地上に出てきた。醤油と白ワインと砂糖を常備して行く先々で照り焼きを振る舞い、世界中にわたしにとっての正しい照り焼きを押し付けて回る布教活動にちょっとワクっとしている。