カーボベルデに向かうためのディーゼルオイルを大量に汲みに行く際にロニーはノートを広げて頭を抱えていた。
これから仕入れなければならないガソリン代が足りていないようだった。そしてロニーからぼくに「ガソリン代の支払いがてきないか」と問われた。「イフユーウォント(できれば)」と付け加えられるのだけどそこにめちゃくちゃノーと言わせない圧力を受け取った。「選択の余地なし」というところだろう。
自分は波風を立てたくなかったのはもちろんだけど、これまで色々と世話を焼いてくれた感謝の意味も込めて100ユーロを払おうと決めた。それを聴いたロニーはそこまで高額だったとは予想していなかったようでたいそう喜んでいた。その喜びようは出会ってから今までの間で見てきた中で、女性がらみのことを除けば過去最高潮だった。その様子を見て自分は正直もやもやしてしまった。根本的な自分の可能性が金によって左右されると捉えているような息苦しい世界観を感じたからだ。実際確かにのっぴきならない状況なのだけど、その状況を作り出しているのも彼自身であるわけで。オイルを入れ終えて船に向かう途中ハイタッチを求めてきたので応じたけれど自分の気持ちは彼との温度差が大きく、変な瞬間として心に残っている。
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デッキの清掃
このくらいの数のタンクにオイルを入れた。
入れ切ったオイルはリキシャで自分達と一緒に運んでもらう。
小舟に乗せて船まで運ぶ
帰ってから海を泳いだ。船の周りを3周
夕方から自転車で旅をしているヤンというドイツ人が乗船。カーボベルデには行かないが手伝いをするという条件で。宿泊費も一日10ユーロほどとるとのことだった。
フォトショップをおじさんに教えている姿を見て、おじさんの世界が広がっている様子をロニーはとても喜んでいた。