訓練を受けにきたコリーナとジャカリヤを交えての作業日。この二人と一緒にいるのはとても気が楽なのだけど、今日は自分が教わったことを教えることができるか試されることもあってナーバスだった。
朝のルーティンワークを実際に見せながら説明する。自分では慣れているつもりだけど新しく見る人に教えるのはもう別次元。自分とは全く違う捉え方になるのでそれをできるだけ汲んであげなければならない。ジャカリヤは飲み込みが早いけれどコリーナはものすごくマイペースで思った疑問をすぐに口に出して時に枝葉末端まで脱線してしまい、あまり付き合っていると時間がなくなるのでそこのところの整理に気をつける。
説明を終えるとロニーが確認する。自分が最初に確認していなかったことまであってとばっちりが来るかと思ったら特に何もなく、彼が一から説明して僕へのダメージは何もなかった。やっぱりこの男は人に教えるのが根本的に好きな人間である。
昼食どき、ロニーとコリーナが話をしているところでちょうど巡回の時間になったので声をかけるとロニーはすごく不満そうな顔をして「15分前〜30分後くらいのズレはあっても良い」と文句を言いながら引き上げていった。
「あんにゃろう、前は巡回の時間がずれていたら文句を言ってきたのに、今はずらして良いとか言いやがる」とコリーナとジャカリヤと三人だけの時に文句を垂れるとコリーナは気だるそうにタバコを吸いながら「それは女性がこの場にいるからよ、男性は女性がいると柔らかくなるものだわ」と言っていた。ああ〜確かに。ヨーロッパって日本よりも男女平等化が進んでいるとよく言われるけれど、それって主に雇用機会とかハード面の話で、こういうコミュニケーション的なソフト面では男性の女性に対するレディファースト感がすごく顕著だと思う。コリーナは社会人類学が好きで力学について詳しいのだけど彼女に限らず世の女性たちはそういう力学を熟知してうまく立ち回っているのだろうなあ。
木材へのオイル塗り
昼食を担当してくれたコリーナ
味見を任されるが
何にでも「美味い」と言ってしまうので頼りにしてはならない。
カルボナーラが完成。
木の部分に油を塗った後はロープを元に戻す。二人にロープの結び方を教えながら自分も進める。ジャカリヤは手先が器用なタイプですぐにぼくよりも上手になった。コリーナは逆のタイプでゆっくりゆっくりできるようになっていった。