HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

タリべ(Malikounda)

セネガルを旅していると、路上でバターやチョコレートの容器だった小さなプラスチックのバスケットを小脇に抱え、ボロボロの服装で物乞いをしている子供たちをたくさん見かける。彼らのほとんどは「タリべTalibè」と呼ばれる。「ダラーDaraa」というイスラム学校で暮らしている3歳〜15歳の子供たち。セネガルだけでなくマリ、ガンビアギニアギニアビサウにも同様の文化があるという。

彼らの物乞いは「マラブMarabout」と呼ばれるダラーの指導者に当たる大人が宗教教育の名の下に強制している。一日に1ユーロ以上の稼ぎを持って来れなければ体罰を受けさせられる事例が跡を絶たないという。

加えてタリべのダラーでの生活環境は砂地にコンクリートの壁で囲まれただけの場所に生活用品がほとんど何も揃っていない環境になっている。自分が見にいったダラーを例に挙げると4畳半のコンクリートで囲まれた部屋一つに10人ほどの子供が鮨詰め状態になっていた。剥き出しの砂の上に敷かれたボロボロの毛布の上で雑魚寝する。屋根は無く、一年間のうちに3ヶ月間ほど雨期があるセネガルの気候に苦労するという。子供たちが寝泊まりする場所でありながら食事の提供はほとんどない(ダラーによって異なるが一日につき少量を一食もしくは皆無)、身体や衣服の洗浄なども出来る設備はないし、怪我をした時の医療ケアの用意も皆無。とりあえず自分の目からすると生きているのが不思議だった。日本の中で同じことが起こっていたら集団児童虐待以外の何物でもなく即刻とっ捕まる。

タリべは扶養しきれない子供が両親の意向によってダラーに送られることが多い。こんな生活環境によく子供たちを送れるなと思ってしまいそうになるし、扶養しきれない程の子供を産むのもどうかと思ってしまいそうになるが、そのあたりはのっぴきならない事情があるのかもしれない。セネガルの社会ではイスラームの教育の価値を信じている人が多いという話を聴いた。

そこでこのLa Maison Des Enfants」では食事、医療ケア、シャワーや衣服の洗濯など、ダラーで行き届かない生活のケアとレクリエーションの機会を提供している。一日につき400人のタリベが出入りし思い思いに過ごすそうだ。詳しいことは自分のブログでも書けたら良いけれどまだまだそんな段階ではないので、興味がある方は是非サイト(Google翻訳のイタリア語→日本語のリンクを置いています)に訪問すること、もしくはタリべをキーワードに検索することお勧めします。

とりあえず、自分はこの団体で日々の子供たちのケアやレクリエーションのサポートボランティアとしてこれからしばらく活動するつもりである。今日がその初日。

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朝の6時から現地スタッフとボランティアが準備を始める。今日、金曜日はたくさんの子供たちがやってくるそうだ。

机のある教室のような広めの部屋ではテーブルと椅子を整え、座りながらできる遊び、色鉛筆に塗り絵本やパズルや絵合わせカードを並べていく。

キッチンでは子供たちに配るためのパスタを大鍋で煮込み始める。

甘くてちょっとだけクローブのスパイス味のするトゥーバコーヒーも大量に用意する。ただし量を増すために水を混ぜるので薄い味になる。

炊き出しのような感じで大量の器にパスタを盛り付けていった。

朝の8時ごろになると子供たちがぽつりぽつりとやってき始め、しまいには大勢の子供たちで埋まる。

まずは食べる。

それから各自自由に遊ぶ。

学習部屋でカードゲームや塗り絵やパズルをスタッフと一緒に楽しむ。

フェデリコは難しい絵を描いて子供たちの注目を浴びている。

レゴブロックやおもちゃで遊ぶ。

狭い庭でサッカーをする。ゴールは塀の壁。

映画鑑賞会ではたくさんの子供が画面に釘付け。

スポーツトレーナーが本職のアレッサンドロは家の外の広いスペースで体操や運動のアクティビティを取り仕切る。

石鹸やシャンプーを使ったシャワーと洗濯された服への着替えも行うことができる。

医務室では怪我をした子供のケア。元ナースのボランティアさんが入っている。

金曜日は服飾の職業人の方が来て子供たちにミシン縫いを教えている姿が見られる。

ずっとカメラを持ってうろついている自分はどんどん「撮ってくれ」と頼まれるのであった。

終わった後に疲れて眠りこけるぼくを撮るイヴァンであった。