HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

意外と強かった親の影響を手放す(Khombole)

引き続きコンボルKhomboleという町の町長さん宅でのんびりと作業をする。イヴァンは食事の準備など家の人の手伝いを積極的にこなし、自分はぼーっとしていたり写真を撮ったりしている。

報告作業。家は広いので身体の好きな部位を好きに動かす我流の運動。フランス語の単語の勉強。座って瞑想。思いつくタイミングなんとなくやりたいことを回していった。好きなタイミングで好きなことに取り組める自由さも貴重なこと。

作業の合間の空隙にゆっくり昔のことを思い出す。

野球していることが多かった大学生の頃、しばらく一人暮らしをした後、久々に帰省して父親と一緒にテレビを見ていた時、たしかその時活躍してたフィギュアスケートの選手の名前が分からなくて「みんながお前に野球だけを求めると思うな」と言われた。

その一言は自分にとっては厳しかった。他人と関わっていくために必要なのはその人の求めに応じた知識であり、その範囲が広ければ広いほど多くの人と関わる事ができて豊かになれる。と、そういう受け取り方をした。

自分の場合、これはとんでもない努力が必要になる。元々頭の回転は遅いしぼーっとのんびりした性格だし他人の気持ちや都合が分からないしそもそも興味がそんなにない。

そんな鈍間なお一人様気質の自分なんてお構いなしに世の中ははるかに早いスピードで他人と繋がり合って回っているのだから、そこに乗っていけるように努力しなければならないよ。それが出来なければ残念な人生になるよ。そんな風に自分をデフォルトで追い込むようになっていた。

あれから10年以上の期間なんやかんやあって、人生なんぞ何も上手くなんか出来なくて良いと本気で思えるようになった今は知識も能力といった各種ステータスは高くても低くてもどちらでも良く、築き上げる人間関係や社会との繋がりの規模や深さの大小もまたなんでも良くなった。ポンコツで惨めなぼっちも結構面白そうだと私的に感じているのでアリ。

もちろん父親の言っていたことは真っ当だと思うし、それらを獲得していく生き方ももちろんオツだけど、それを自分がやるとちょっと捉え方がオーバーになり、のめり込んでその成否が「Do or Die(生きるか死ぬか)」の強度で脅迫的に迫ってきて常時戦闘モードの息苦しい状態となり、結局自他共ににご迷惑をおかけすることになってしまったのがこれまでの経験なのでやっぱり採用できない。そうキッパリ思える今は清々しく感じる。

しかしまあ、親に言われた事というのは家族関係に熱心ではない自分でも影響力が大きかった。自分の周りには家族関係こそが人生のテーマと言っても良いくらい真剣に取り組んでいる人が多く、それに比して自分は何にも問題らしい問題なんてなく、そんなに気にしていないつもりだった。けれど、そんな自分にもまあそれなりに強い影響というものはあったのだなぁとしみじみ思った。

こうやって自分の中に深く染み込んでいる合わない感覚も思い出せたらそれはそのまま手放すチャンス。どんなやり方もあり得る時代は自分のやり方で進ませていただきます。

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今日もいろんな人が出入りするこの家の名前も知らぬ人と絡んだ写真たち。