HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

こどもたち(St Louis)

サン・ルイSt Louisで繋がった子供達の支援活動をしている非営利団体「Coeur en Or」に3度目の訪問。

午前中はアート活動を見学した。塗り絵用に印刷された紙に色鉛筆で塗っていく。色鉛筆は削られていないものが多く、鉛筆削りは壊れかけでちょっと乱暴に扱うと使えなくなりそう。自分は削れてない鉛筆を削ったり、写真を撮ったり、クリスタが子供と一緒に絵を描いているところを撮ったりしていた。テーブルに2本ある脚の片方がちゃんと立て付けられておらず、一度大きな音を立てて崩れるという、日本の学童施設だったら大事になりそうな事態が発生した。

それから、ダラーDaraaという場所を見学した。ダラーは西アフリカにおけるイスラム教の学校であり、住む場所の無い子供達の生活の場も提供している。年齢は7才から。写真撮影は禁止。

コンクリートのレンガが剥き出しで窓もない、壊れかけの小さな建物に砂地が剥き出しの床の寝室にはボロボロの毛布が敷いてある。四畳半くらいの広さの部屋に5〜6人くらいで雑魚寝をしているようだ。その部屋が3つ。寝室には窓もなく真昼なのに真っ暗だった。屋上では見た感じ7〜15才くらいの30人くらいの子供達(男子用なのでほぼ少年だけど数人女子も混じっていた)が集まってコーランを延々と音読している。ボロボロの丸いプラスチックのバケツに入った炒めご飯やパンを食べている子もいた。

支援団体では毎週決まった曜日に街中に複数あるダラーを回って医療ケアを行う。顎に大きくできた擦り傷や、くるぶしのあたりに入った長めの切り傷を見せにくる子供達。そこに協会のメンバーが消毒液を塗ってガーゼを当てて包帯を巻く。包帯は長い白い靴下を縦に4等分に切って作られたものだった。

事前に情報を集めていたイタリアのフェデリコによれば

・子供達の中には200km以上離れた村から養う能力の追いつかない両親によって送られてくる子もいる。大抵は末っ子になる。

セネガルでは公にはフランス語が共通語ということになっていて公教育でもフランス語を教えるけれど、それを良く思わない国民は多く彼らはこのダラーでのウォロフ語とイスラームの教育を希望する。

・路上で物乞いをしている子供たちはこのダラーの先生や歳上の青年に強いられていてノルマに達することができなかったら体罰を受けることもある。

自分が生きてきた環境やそこで生成された常識から見た彼らの生活環境や教育環境は劣悪そのもので、何もかもが足りていない。フェデリコの話と合わせれば、子供達が社会の犠牲になっているという感想を持たざるを得ない。

家に戻ってホストしてくれているシェイフにダラーでの体験談を尋ねるととても明るい顔で「最高だったよ!先生も友達もみんな素敵だった」ということを言っていた。数日間少しだけ話しただけだけど、このシェイフがずっと醸し出していた屈託のない明るさは彼の言葉の証拠として充分だ。ダラーの環境もピンからキリということだ。

アフリカを旅する以上は所謂「貧困」を感じるざるを得ない。でもそれは自分の生きて来た環境とそこで培われた常識の色眼鏡を以っての「貧困」であり、その視点だけで「問題」とか「かわいそう」とかネガティヴなラベリングをすることは盲目的だし、更に自分は地球の常識そのものからも離陸しようとしているところなので、何が豊かさで何が貧しさか、そもそも貧富というものの有無は本当か、目の前にある物は本当に実在するか、とか、というレベルから依然はっきりと他人に説明できるくらいはっきりした見解を持てておらず、自分の解を導き出すところでもあるので余計に何も言えない。

今は現地に居られるこの時を活かして当人たちの様子をじっくり眺め、可能な限りの話を聴いて、自分の直感を注視していたいと思う。フランス語が出来ず、協会のメンバーから直接話を伺えないのがむず痒いところ。

明日からはサン・ルイをクリスタ、イヴァンと3人で出発する。