HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

3度のパンク、ヒッチハイク、混沌(Unknown→Nouakchott نواكشوط)

朝、出発しようとしたら前輪がパンクしていることに気が付き、みんなのサポートをもらいながら修理。焦って急ぎ過ぎてタイヤとリムに棘が残っていないか確認するステップをすっ飛ばしクリスタに指摘されてやり直す。旅歴2年半の所業ではない。みんなに迷惑をかけている気がするとどうしても焦る。こういうところは全然あまちゃんだ。

走行を始めてからもパンクは続き、結局この日、合計3回となった。フェデリコが偶然後ろを走っていてくれていたから修理は楽だった。流石に3度目は「フェデ、もう先に行ってくれ」と頼んだけど「何言ってんだよ」という雰囲気で「Let me help you(助けさせてくれよ)」と手を差し伸べてくれた。

さらにフェデリコは「ヒッチハイクを頼もう」と提案し、フランスナンバーの車を引っ掛けてくれた。

モーリタニア車中泊で旅しているというおじいさん。名前をダニエルさんと言った。ダニエルさんは寡黙な雰囲気で今は先を急いでいるところだと言っていたけど「おれも旅するときは助けてもらってるから」と載せてくれた。

運転中に少しだけ交わした会話では、ダニエルさんは旅の最中に知り合ったモーリタニア人に会うために10年以上、毎年訪れているそうだ。アフリカ大陸の人々がヨーロッパを訪問するのはそもそもの経済力や査証のハードルが高くて難しい。事実上富裕層や要職の特権となっている。だからこうして彼の方から足を運んでいるという。その話を聞いた時のなんとも言えなさは印象的だった。

ダニエルさんの車で辿り着いたモーリタニアの首都、ヌアクショットはとてもカオス。走りにくい道路に行き交う人、ぶつかるスレスレを走る車。自転車で来ていたらなかなか厄介なことになりそうだった。

この日はイヴァンが前日に路上で仲良くなったヌアクショット在住のモハメッドさんという方の仕事場に泊まらせていただくことに。そこに向かう途中見かけた住宅街の中のボロいテント。ドアもなくむき出しのコンクリートの中に暮らす家族。その周りの砂の路地を裸足で走り回る小さな子供。泊まらせていただいく建物は普通以上に大きくて豪華なだけにその対比でカオスその物だった。

家の中には黒人の召使いさんが働いていた。しかし、その雰囲気はどこか奴隷を思わせる。フェデリコから聴いた話ではモーリタニアは世界で最も遅い1980年代に奴隷制度が廃止になった国であり、その名残がいまだに見られた結果だろうとの分析だった。

狭い部屋で寝泊まりしながら家の掃除や泊まる部屋に何枚ものカーペットやクッションを敷き詰め滞在の準備をしてくれて、客人へのお茶出してくれた。彼にはお茶をもらった際に目を合わせて感謝を伝えようとするけれど、笑顔もなく、目も逸らしたままどこかへ行ってしまう。フェデリコが彼からお茶をもらう時に彼はゆっくり両手でお茶を受け取りまっすぐに彼を見つめながらと120%心を込めアラビア語で「ありがとう」と伝えていたけれどその思いも彼の体を透けて抜けて行ってしまったかのようだった。

モハメッド氏はモーリタニアの中でもかなり限られた人数の富裕層であることを思わせる風体で、最新のiPhoneで撮影した欧州の旅行の写真を沢山ぼくらに見せながら誇らしそうだった。シャワーや夕食もいただいて、ありがたさを感じながら召使いさんのインパクトが頭から離れず、この場所に仄暗さを覚えずにはいられなかった。

室内の蚊が多すぎて眠れない。耳元で羽音がする度、ヘッドライトをつけて蚊を叩く。同じ部屋で寝ているイヴァン、クリスタ、フェデリコの3人のことも気にしない。結局、11匹くらい倒した。これまでも確かに蚊はいたけれどそんなに気にならなかった。そのくらい湿度が上がって蚊の多い地域にやってきたのだと実感する。

・・・

朝焼けと泊まった場所。

みんなが修理を手伝ってくれているところ

ヒッチハイクで止まってくれたダニエルさんの車。

乗せてもらっている最中、申し訳ない気持ちだったのだがダニエルさんの方から「一緒に写真撮って家族に見せたいわ」と言ってくれて嬉しかった。

ヌアクショットに入る。

ダニエルさん、ありがとうございました!

召使いの人。

到着直後におもてなしとして家主のモハメッド氏がミルクとパンを用意してくれた。

牛乳がタフさの秘訣!

イヴァンもまた、自転車のトラブルによってヒッチハイクでここまで来ることとなった。乗せてくれる人が見つかってよかった。

モハメッド氏との談話

モハメッド氏は大型のワゴンに僕らを乗せて街の見学に連れ出してもくれた。

長い一日だった。ヌアクショットにはしばらく滞在して観光や作業などを行うことになりそう。