HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

空き家に泊まる(Atar أطار→Terjit)

大所帯だった旅人一行はシンゲッティに留まるグループ、アタールのキャンプ場に留まるグループ、先に進むグループとバラバラになり、自分はスペインのイヴァン、イタリアのフェデリコと一緒に先に進むグループに。

この日はタルジットに向けて移動を開始した。およそ50km。

タルジットには見応えのあるオアシスがあると言う話だったけれど入場料200ウギア=800円を前に3人とも断念。何よりも門番のおじさんの雰囲気がとてもケチ臭く、そのマインドセットにうんざりしたというのが大きかった。

フェデリコから昨日行ってきたシンゲティの写真を見せてもらって古いコーランの写真なんかを見せてもらって「はぁ〜すごいね〜(日本語)」とか言いながら、ふと「観光地の話なんてこんな風に人から聴いてりゃそれで良いかな」と思った。自分で行って知って伝える楽しみはもちろんあるけど、人から旅の話を聞いて楽しむことができる人の方がすごいなあと思う。そんなに頑張ってあっちもこっちも行けなくても良いじゃないか、と昨日から引き続き思えてくる。

自分がノロノロ進んでいる間にはるか遠くを走っていた2人が道路から離れたところに円形の空き家を見つけていて、その中でテントを貼ることにした。周りには誰もいなくて静かな場所。ちょっとだけ秘境に来たようなドキドキ感。

沈む夕日が綺麗で近くの小さな川に空の色が映り込んだ。

イヴァンがぼくと二人分作ってくれたシンプルなクスクスと魚の缶詰を混ぜたものが美味しい。しかしイヴァンは自分の料理の出来栄えに全然納得がいっていない。

「最高に美味い飯を食いたければ自転車旅してパスタ茹でて食え」と一流レストランのシェフだったフェデが言う。間違いない。日本の漫画ではフェデは『北斗の拳』、イヴァンは『ワンパンマン』が好きだそうだ。

鈴虫の声だけが聞こえる静かな夜。星空がよく見えた。星をよく見ると光はキラキラまたたいていて、この動きが綺麗なんだよなあとぼんやり思う。とても美しい夜だった。