HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

久々にゆっくりして思うこと(Casablanca الدار البيضاء→Khemisset Chaouia الخميسات الشاوية)

道路脇のちょっとした林。周囲は農地として使われているっぽい土地がただただ広がっていて、まあ別段素敵な景色というわけじゃない。ただ、あまり車も人も通らないので落ち着く感じがする。アズィズさんの家を暗いうちに発ってまだ日も登っていない寒い早朝6時(今のモロッコは8時くらいから本格的に明るくなる)。ここにテントを広げて仮眠をとった。

起きてすっかり明るくなってからも人通りはない。静かだった。

こんな風に落ち着くことが久々だった。先週1週間、大都市圏で風邪をひきながら生き延びるののに必死だった。その反動だと思う。起きてからもしばらく座ってぼーっとしていた。

これよ、これこれ。自分の好きな感じ。

海外を旅している人間に対して見ている人が期待するものの中には必ず旅先の文化が感じられる景色というものが常にあると思う。でも、自分が身を置いていたい場所はこんな風に、何もない、誰も通らない、そんな静かな場所である事が多く、旅先の文化がしっかり感じられるような場所にはほとんど居ない。

そんなんだから必然、それっぽい写真も撮れず我が発信には旅人らしいキラキラ感はないのだろう。汚い、辛い、臭い生活の上に美しい景色もない。旅をこんなに地味臭く描ける人間もなかなかいないのではないかと思う。とにかく、そういうタイプの読者さんにはごめんなさいと頭を下げるしかない(いやそもそも見にこないかそういう人は)。

今でこそ、ぼくはそんな自分について、ここまで割り切れるようになってきたけれど、元々の自分は他人や世の中にとても同調しやすく、旅程決めではいつも「みんなが喜びそうなあの場所には行っておくべきだろうか?」という問いを立て続けている。楽しめる範囲ならそれもオツなのだろうけど、自分の場合、そうしているうちに自分が何によって幸せを感じるのか忘れてしまうことが多々ある。

だからこうして今、何もないこの場所に静かに佇むことのできること大切さを思い出している。

確認しておきたいことも確認しておく。

自分的に、本当に大切なことは外側(旅先で目にする景色や得られる体験)にはない。大切なことは自分の内側に。。。と定番の文句を言いたくもなるけどそれも違う。

内側と外側というのは別れていて、別れてはいない、という両面を併せ持っている感じがする。外の景色を見ているようでそれは自分の内面が映し出されたものであったり、自分の内側は外側の反映であることもあるし、もう外と内で分けることがだんだん不毛に感じられてくる。そこに科学のような決まった答えはなく、全ては自分で決めるだけのアートなのだと思っている。

ただ、自分は忙しくなってきたり、最近のように体調を崩したりすることによって調子を落としてくると外側をなんとかするべく意識の重心が外へ外へと向かう。こうなると「体がこのまま治らなかったらどうしよう」とか「これから続くタフなアフリカ旅は本当にうまく行くのか?」とか「自分は本当に旅を楽しめているのか」とか「こんな地味臭い旅を人は嘲笑うだろうな」とか、不安や心配、暗澹とした気持ちの方に心は傾く。さらに考え込むともう泥沼。最悪、自滅する。

だから座ってゆっくり息をして、「何を為すか」ということと人生は全く関係ないことを思い出すと良い。これは意識の重心が外へ外へと向かうことの反対の動き、内へ内へ、自分の中心へ中心へと向かう動き。やがて本当に中心(感じている自分の意識)に立つ。中心に立って、そこから見渡す景色に内も外もない。

中心に立っていない時は、自分よりも外部環境や他人に圧倒的なパワーが付与されていて、自分ではどうにもできないという絶望感があったけれど、中心に立って改めて見れば自分が優位になる。圧倒的にパワーを持っていたものたちが実際は全然大したことがないと感じられたり、何も気にせずスルーできるようになったり、スケールダウンしていく。

そしてただ自分が取り組むべきことに意識の焦点が合う。中心に立つ前の狭い視野で考えていた不安や心配は払拭されていて心地よい。例え人生というものがある方向に向かって進んだ距離を競うゲームであるとしても、その結果が0メートルだろうが進行方向と全然逆方向に進んでしまおうが(所謂外側の事象)全く問題ない。万事、自分のやり方で存在しておるだけで良いのである。

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アズィズさんの家にて、朝5時に起きて朝食。ホブズにチーズを挟んだものとお茶をいただきました。警備員だというアズィズさんの出勤に合わせてささーっと自分も出ていった。ありがとうございました😊

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仮眠、休憩から起きて出発。街も村もない小さな集落を見ながら走っていきました。

途中立ち寄ったカフェではワールドカップの中継が流れていた。時折お客さんみんなで大歓声を上げていた。試合はアルゼンチンvsサウジアラビア。1-2でサウジアラビアの勝利。これにお客さんは湧いていた。番狂わせに対する喜びか、同じイスラーム圏の国への祝福か、なんにせよモロッコもまたサッカー狂の国である。作業をしていたら隣でハシシらしきものをパイプで吸っていたお客さんからあったかいミルクとお茶をご馳走になった。ありがとうございます。

それから再び出発。寂しい印象の風景を進んだ。気温は涼しめ。

夕方くらいに辿り着いたガソリンスタンドの食料品売り場のお兄さんからテントが張れそうな場所を教えてもらい、お礼を伝えると、さらにゆで卵に塩とクミンパウダーをかけたサンドイッチまで渡してくれた。ありがとう😊

夜な夜なテントを張っているときにかなり犬に吠えられて警戒したけれど結局大丈夫だった。冬が近づいてきているのか冷え込みが強くなってきている。