HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

日本食を振る舞ってみた(Meknes مكناس)

まず言っておく。今日のブログは書きたくない。

ぼくは幼少の頃から家事などほとんど手伝ったことはない。料理はその中の最たるもの。大学入学した17歳の時に一人暮らしを始めてから電気釜の使い方を覚え、切る、煮る、焼くを覚え、ご飯と煮込み系の料理の炊き方を習得したらあとは2〜3品目のルーティンで満足できた。特にそれによって体調を崩すこともなかった。

友達とシェアハウスで一緒に暮らすようになってからは全て友達に任せっきり、自分は洗い物に徹していた。自分と繋がる人は極めて高精度の五感をお持ちの方々が多く、料理ひとつとっても味にこだわる品質にこだわる。レベルが4桁も5桁も違うような特級シェフばかり。そんな方々にこのズボラ人間が「たまには」と気を働かせ、ネットで調べた美味しそうなものを作ったところで、楽しいはずの食卓が、口数の少ない、やや気まずい空気の流れる時間になるだけなのであった。

このブログを読んでくれている人も高精度の五感をお持ちのシェフやグルメが少なくないとお察しします。

だから

今日の日記は書きたくない。写真も見せたくない。

もう一度言っておく。

今日の日記は書きたくない。写真も見せたくない。

でも、仕方がない。書く。写真も載せる。

日本食を作ってみた。しゃけおにぎりと肉じゃが。

タジン鍋とツーショット。ジャパニーズアンドモロッカン。

出来栄えについては聴かないで。写真もよく見ないで。こらそこのお前!拡大しておにぎりの形とか確認するな!

・・

メクネスに住まう二人のアマーズィーグ(「ベルベル人」と呼ばれる人々の自称)、アブドとワリッドには毎日の寝食をお世話になっていて、Google翻訳を使わなければコミュニケーションも交わせないような状態なのに、いつもお心遣いいただいている。

彼らは20代前半の若者だ。自分はずっと年上の方々からたくさんお世話になり、彼らの人生から得たその叡智をシェアしてもらってきた。日本にいた時も旅を始めてからもずっとそうだった。自分もその先輩方に習ってこの若者たちにシェアするターンがきた。ような気がした。

というわけで、お買い物。

marjaneとくモロッコの大手スーパー。ここなら日本の材料も手に入りそう。

キッコーマン、ゲット!40ディルハム(560円)。たっけ!

他にも「Soy Sauce」と銘打ったものが並んでいますが成分表を見ると全部「砂糖」が入っているのを確認し、モロッコの人々の味覚にカスタマイズされた、日本におけるカレールウのようなものだと判断。醤油さえちゃんとしてれば最低限悪くないものが作れる。よし、世界のキッコーマン、君に決めた!

みりんもゲット。33ディルハム(462円)絶対ちゃんとしたお酒じゃないものだと思うけど。

おにぎりの具に使うシャケはお魚売り場で。

海苔も買った。だし汁はなかった。何か魚を買って代用できたのかもしれないけれどやったことのない冒険になるのでやめておいた。そんな感じで店内を1時間くらいうろうろして、買い物完了。

おまけ:モロッコのスーパーで目を引くのはこれ。スパイス。

・・・

さあ調理開始。行け。考えるな。迷わず行け。

肉じゃがは圧力鍋で。

打ち合わせ不足でガッツリ夕食作ってたワリッドのタジン鍋と並びます。でも僕の作るものが彼らの舌に合わなかった時の保険になるし、結果オーライ。

おにぎりに使う焼き鮭。モロッカンティーとツーショット。

米は日本米ではないが、ぼくは普段から旅の中で炊いているので、ぎりぎり形になるイメージはある。しかし粘り気が少ないのでボロボロこぼれる。

予想外に多くなった夕食に友人も参戦です。

肉じゃが思ったよりもうまくできた。モロッコの人のイメージで甘めに作っておいた!

完成。(冒頭の写真)

さあ、皆さんの反応は・・・

・・・・・

・・・・・・・・・(別の友人と通話が始まる)

はい、まとめますと

とりあえず頷いてくれたり、グッドと言ってくれたりしたのですが、それからなんとも言えない静けさが広がり、彼らの手はどんどんタジン鍋の方に伸びていくのでした。おにぎりは80%くらいが我が胃袋に収納されたのでした。

面白かったのは肉じゃがもホブズで食べる絵面。

聴いた評価だと肉じゃがとおにぎりはサムズアップで「グッド」。しかし海苔は手を振るわせ「微妙」だということでした。かなり手加減してくれているはずの評価でこのくらいなので、まあ本当のところは、お察しくださいということでしょう。

フィードバックを受け取る日本人。の図。

・・・

まあ、そんな感じでございました。

自分で作ったものを食べて実感したけれど日本の味って奥ゆかしさとか渋さとか侘び寂び的な部分があり、それらを外国人にすんなり受け入れてもらうのはやっぱり難しい。ヨーロッパではそれも楽しめる人をたくさん見つけてきたけれどアラブとなると難しいかな。

甘かったり、濃ゆかったり、分かりやすい一品料理がウケるイメージがあります。海苔の良さとか説明しようにも難しい。あ、書きながら思ったけれど海苔は焼いたら美味しかったかもしれない。リベンジ行くか?(いや、ない)

・・・

今回の挑戦は空回りした感がありますが、後々何に活きてくるかはわからない、失敗とか成功とか判断せず、そのまま保存しておきます。多分、日本料理を作ってみたのは旅始めてから初めてかな。