HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

3ディルハムの乱(Meknes مكناس)

夜、カフェから帰ってきて部屋で瞑想する。

心臓がバクバクする。

後でなにか報復があるんじゃないか?自分になにか間違ってるところがなかったか?これからの旅もこんな調子で大丈夫か?バチでも当たるんじゃないか?

カフェで42円を巡る小さないざこざがあった。

出来事としては本当に大したことはない。もちろん誰も怪我もしていない。

が、このくらいでも自分はかなり目に見えないダメージや負担を負うので、しっかりと意識して瞑想やワークやなにか気持ちのアガる事等々でメンタルの掃除をすると良い。という、前々からいろんな人から何度も耳にしていたメンタルテクをちょうどこの時自分ごととしてはっきり実感した。

この時の瞑想では「自分と宇宙の全ては繋がっていて、本質同じである」ことを感じ。理解し難いような憎たらしい人物にも事情があるということを糸口に許しの境地に入った。

作業のために通い詰めているカフェは今日で3日目。そこにいる3,40代くらいのオーナーらしき男。彼の雰囲気がどうもトゲトゲしい。英語を解するのは少しだけなのもあり、やりとりはかなり雑。

だまってこちらを見ている時の視線がなにか、スピアをこちらに構えて向けているような鋭利さがある。ぼくは昨日までの2回は滞店権目当てにお茶を注文し、長時間作業。周りにもパソコンを開いている客が5〜7人くらい、おそらく同じ目的で利用していた。

最初、オーナーの彼と少しだけやり取りして注文する時「メニューがないか?」と尋ねてもなかったので「1番安いものは何?」と尋ねると7ディルハム(100円)のお茶だった。ので、それを注文。彼は「ノーマネー?」と聴いてくるのでYESと答える。数分後、お茶を持ってきた彼が「どうしてモロッコにおるん?」と聴いてくるので自転車旅の写真を見せた。すると「お前金あるやん」的なリアクションをしてきた。「いや、金ねえから毎日野宿してんねん」とジェスチャーで伝えたけれど彼の表情を見る限りそれは伝わらなかった。

彼の関心はお金に焦点が当たっていると感じる。こういう人は日本も含め世界中どこでも普通にいるし、まあ、自分もその例外ではないんだけど、旅行者として身の安全を確保しなければならない自分としては身構える。ぼくは今金持ちと見做されて狙われるかもしれないと。普段の倍くらいネガティブに意識の深い部分で身構える。

3日目の今日も作業を終えて帰宅する前に支払いをする。ポーチの中の細かい現金を探っている時、彼はぼくのポーチから見える10枚くらいの紙幣を指差して「ほーれ、金あるじゃねぇか」的なことを言っている。もうこちらの事情を説明するのもめんどくさい。

細かいお金がないので50ディルハム紙幣を渡した。釣り銭をちゃんと返してくれるかすら不安。はっきり身構える。すると彼は20ディルハム紙幣2枚だけを返して、残りの3ディルハム(42円)は返さず「以上だぜ」とばかりに両手で軽くバンザイした。

きたっ。

ぼくは

「えーーー!?冗談でしょ!?!?wwwwwwwww」(日本語)

とオーバーリアクションで大笑いしながら「ホワイ?ホワイ?」と質問した。

本当にウケたのではない。内心では思い切り戦闘(守りのイメージ)モード。でも意識して笑顔になる。理由は笑顔が世界共通で安全弁だからです。とりあえず笑顔でいればば酷いことにはならない。二次災害は防げる。最悪の事態を避けることができる。これは笑っているように見える顔をすぐに作れるというぼくの特徴を生かしている部分もあります。もしガチの怒り顔で抗議していたら喧嘩や警察沙汰に発展しかねないように思う。42円を巡ってそこまでやる気にはなれない。

私は今理不尽を感じていて納得していないこと、そして本当に闘う気はないこと、これを言葉の通じない相手にもセットで伝わる表しておきたい。あと、もう一つ本質的な理由は自分の精神衛生を悪化させないため。

ぼくはGoogle翻訳をつかって「あなたは泥棒と同じ」と伝えた。すると彼はぼくのスマホを求めるので貸すと「長時間滞在した分のチャージだ」と主張する。

もちろん長居してしまうことに対して申し訳ない気持ちはあるが、予告なく長居をチャージされる根拠にされても全然納得できない。てか7ディルハムで済んだ昨日の方が長く滞在していたし(その時お金のやりとりをしたのは別のスタッフだった)。ちゅうことは単なるお主のわがままやないかいっ!

まあいいや。世界の圧倒的多数でははチップと称して余計にお金を渡すことなんて普通であってぼくのようなトップクラスのケチは古今東西そうはいない。なによりぼくはこの旅では喧嘩をご法度としている。

ディルハムはチップだと思って諦めよう。

でも、自分は納得してない。これまで無償で心から優しくしてくれた沢山の人の顔が浮かぶ。こっちがおれの思う本来の世界。彼らにこそお金が回っていくべきであるくらいなのに、釣り銭をいきなりくすねるような輩にお金が流れると思うと震えが止まらない。

だから、納得していないことだけは伝えておきたい。

「そんなルール初めて知りました。ぼくはあなたが理由をこじつけてお金を盗んだとしか思っていません。もう結構です。」

そう伝えたら彼は残りの釣り銭のコインをテーブルに置いた。

(冒頭に戻る)

ざっとこんなことがあったのだけど、

旅行者tipsっぽいポイントは、何かにかこつけてお金を取ろうとする人はいるということです。ただし、ぼくは2年以上旅して初めて出会いました。「いる」と言っても体感の確率としてはそんなもんです。もちろん地域によると思うので大雑把なものです。

ぼくはこの時、「貴重な42円をどうしても失いたくない」というガチの気持ちはもちろんありました(モロッコじゃパン3枚も買えるしね)。

しかし、それ以上にやられたことに対する自分の感想を伝えておきたかった。実際、最後の言葉を伝える時には42円は諦めてたし。本音を伝えるということで遠慮することはないのです。本音を伝えること・イズ・ザ・人生(もちろん伝えない選択も場面によってあり。ユア・チョイス)。

こういう人物が現れたらぼくは反射的にその人を憎みます。しかし、時間を置いて冷静になると必ず彼らのそこに至るまでのストーリー(その中身まではわからないにしても)が存在することを想像でき、彼らは別に間違ってるわけでもなんでもないことを感覚的に得心できます。これはぼくにとってめちゃくちゃ大切です。今回はこれが心の掃除というやつなんだと実感できました。あー、これね、という感じ。

すみません旅行者tipsの話が途中からぼくのメンタルtipsの話になりました。

あと、今回は特にGoogle翻訳があって助かりました。私はプリミティブ嗜好なところがありますが、この件に限らず、いつも、テクノロジーの恩恵の上に我が人生は成り立っています。Google翻訳もSNSも種々のテクノロジーは海外旅行に革命をもたらしてるのを実感します。これからもどんどん活用させていただきます。ありがとう。合掌。

滞在させていただいている部屋に置いてあるコーランマットレスは何気にトルコ製なのか。

アラビア語コーランはこんな中身です。右から左に読み進めます。

お昼ご飯に彼らが作ってくれたガミラ

ポットを高々とリフトさせて注がれるモロッコ茶の美味しさにハマってきました。

帰ってきてホッとしている時、家主が夜中に帰宅してきて買ってきてくれたスイーツ。天使の如き優しさを感じる。ありがとう🙏