HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

ゆっくりだから出会うもの(Ouezzane وزان→Ain Defali عين دفالي)

ロッコでは西ヨーロッパよりも道端の人々がこちらをじーっと見てくる感じがします。トルコとかアルバニアっぽいかな。目が合ったら「サラーム」とアラビア語の挨拶をします。もう少しちゃんとやる時は「サラーム・アレイクム」

ネットで検索すると「アッサラームアレイクム」とよく出てきますがトルコやアルバニアやモロッコムスリムの会話を聴いてると最初の「アッ」は省略しているように聴こえます。サラーム・アレイクム。

「挨拶は大事です」というような最もらしい道徳みたいな話はみんなに当てはまるとは限らないので好みではないです。

ただ、自分にとっての挨拶の良いところは他人と関わる構えが整うことです、心身魂的に。挨拶したってスルーされることはよくあるし、それ以上特に何も関わりがないことが多い。でもそれはどうでも良い。構えが整えば自分の中でエンジンがかかります。このエンジンがかかると元気が出てきます。要するに挨拶すると自分が元気になるという単純な話です。

それに、普通の顔をしているとただ怖い人にしか見えない現地の人々がこの一言だけですごく笑ったりします。親しみが沸いてきます。勝手に怖い人だと思っていた自分の恐れの気持ちが馬鹿馬鹿しくなります。怖い顔になっているのは旅を大変なものだと深刻に捉える自分だろうなと思い直します。

「道徳」とか「人として」とかそんな権威的なものではなく、シンプルに自分の精神衛生を保つという生存スキル的な意味合いで、挨拶がとても良く機能してくれています。

ぼくが旅行者として得してるなあと思うところはこの見た目です。

自転車にたくさんの荷物を積載したアジア顔の弱そうな男。とにかく目立ちます。どこでも見られます。

今日はアインデファリ(Ain Defali عين دفالي)という小さめの町に入りました。

こういった町や村を歩く時は「ちょっと止まれ」という感じで手招きされたりします。

話してみると、だいたい集団の中の一人がフランス語かスペイン語を少しだけ話せるので、それで「どこの国の出身か、どこから来てどこへ行くのか、いつまで旅するのか」あたりを問答し、それ以上は自分がアラビア語を解さないので話せない。よってただその場の成り行きに任せて何かを見せてもらったり写真と撮ったりしてます。

小さなお店が並ぶところの男たちが手招きしているので行ってみます。

ちょっと話をすると店の売り物のお菓子を分けてくれたりしました。僕の自転車に乗せているソーラーパネルがちょっと珍しかったようです。年配めの方は嬉しそうに「ヴォンヴォヤージュ」と声をかけてくれました。あと、自分の装備のプラスチック製のものがいくつか壊れていたので接着剤をお借りしました。

「俺のことを撮ってくれ」とノリノリの若者たち。楽しいひとときをありがとう🙏

アインデファリの町を眺めながら歩き。

今度は果物売りのおじさんが手招きしているので止まってみます。

彼はロレインさんという方で外国人であるぼくに合わせてフランス語で何かを話してくれるのだけど、自分がフランス語を微妙にしか理解できず想像で埋め合わせまくって自己紹介。

「何か食べるか?」と聴いてくれたので頷くとどこかに歩き去り、5分後、店に戻ってきて、さらに5分後、お店の人だと思われる子供が持ってきてくれた夕飯。わあ〜!私めにはめっちゃ豪華です!

魚はイワシの開きを揚げたもの。ほんのり何かスパイスのようなものがかかっています。

うまい!魚は自分の旅の中では貴重な栄養源です。田島寛久、予想外の豪華な夕飯に夢中になります。

食べ終わるとロレインさんは「アンコール?(もっと食べるか?)」と尋ねてくれて、申し訳ないと苦笑いしながら頷きました。

ああ、嬉しや。

店の前に腰を下ろすと、ロレインさんと同じ視点になる。ここで落ち着くと注意が道路に行って通行する人をよく見るようになる。これが現地の人の視点なんだ。行き交うアラブの人々の中に突然この変わったなりのアジア人が現れるのだ。そりゃ目立って当たり前だなと思う。

突然ロレインさんが「イギリス人だ」と言って大声で何か声をかけた。見るとジープが数台、道路を通り過ぎて行って確かに運転席にはイギリス人らしい顔がのぞいていた。彼らはきっと車でフェスやマラケシュなどの観光地までパーっと行くのだろう。自分は彼らと同じことをしてもきっと楽しめない気がする。よちよち歩いてたどり着いたなもなき場所でご馳走してもらっていることの特別さが自分にはすごいことのように感じてしまう。そういう旅を好んでいるのだということを改めて思う。

ロレインさん、ありがとうございました。「モロッコのホスピタリティだ!」と笑顔で言ってたその言葉、私も復唱します🙏

ロレインさんに相談して、町外れの学校を教えてもらった。その近くの木の下で静かに就寝できた。快適。いやあ良い日だったなあ。

移動距離も少ないスロージャーニー。