ゆっくり起きて出発。今日は快晴。過ぎゆく景色にカメラを向けながら走っていった。
多くの教会の敷地内には聖書の中の物語を再現したと思われる人形やイラストが置いてある。
住宅街の中に溶け込む祠。
ワイン畑
銀行の建物がすごく古そうだ。
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日が暮れる頃から雨が降ってきた。予報ではこのあと一晩中雨だという。いつも頼りにしているバーは周りになかった。民家の人に声をかけ、怪しまれながら翻訳機を見せるけど反応は芳しくなかった。
雨は本格的に強くなったところでたまらず廃屋に逃げ込んだ。コンクリートやガラスの破片が散らかっているけど広い。一晩ここにテントを張ることもできる。これ以上先に進むにしても暗いし道路は濡れているし進んだ先で泊まれる場所が見つかるとも限らない。
自分の中の理想の絵を思い浮かべる。自分一人で寝場所を決めてしまうのではなく誰かのサポートを受けたい感じがする。気を取り直して雨の中進み直すことにした。
それでも本格的に降っている時は辛い。水が冷たい。風が冷たい。早くどこか人と話せる場所へ。
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農家さんと思しき民家の庭で何人かが飲み交わしているのを発見した。表で飲み交わしている人は気持ちがオープンな気がするので思い切って話しかけることにした。家の門の前で雨音に負けないよう大声で「ドブラヴェーチェ(こんばんは)!」と叫んだ。
ビールを片手に持ったおじさんは遠くから僕の姿を確認しただけで手招きしている。「お前も一杯やってけ!」と言う雰囲気だったのでお邪魔させてもらうことにした。嬉しい。もう寝場所はこの後でいい。
みんなは豚の丸焼きを囲んでいた。火があったかい。。。ありがたい。。。
とりあえず映像がわかりやすいと思う。
燻製ソーセージ
やっぱりお酒はまずラキア。バルカン半島の国民的お酒。
ラキアを飲む際、相手がぼくを日本人だと分かっている場合は「これはバルカン半島の"sake"だぜぇ」と言われて、「いや、ラキア(アルコール45~50%)は酒(10~15%)より全然強いっす」と説明する下りが結構な確率で生まれる。日本酒というものの存在は日本語のまんま、sakeでよく知られている。でも「日本酒は米から作るんすよ」と説明すると「へえ〜知らんかった」と反応されることも多い。
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映像にも映っているけど、このパンに焼き豚から滲み出てくる油をつけて食べるともう体を捩ってしまうくらい美味しい。味付けは塩のみ。採れたての食材をその場でいただいているワイルド感がたまらない。
トレイに溢れた油も
ほとんど誰ともまともに会話ができないけれどとりあえず笑って過ごす。その様子を眺めつつひたすらパンに油をつけて頬張った。
豚は2時間くらいかけて焼き上げる。
その豚を分けていただいた!う、う、う、うまい良い良い良い良い良いい!!!!!!とろけまくっている。肉も油もとろけまくっている。
家の中にいた奥さんから「サルマ」もいただいた。ロールキャベツだ。
余った分は銀紙に包んで持っていけるようにしてくれた。
ぼくを仲間に入れてくれたこの家のお父さんの名前はステヴィッツァさん。
寝場所のことも心配してくれてどこでもキャンプができると伝えるとこの小屋の屋根の下にテントを張らせてもらえることになった。一晩中雨が降っていたので助かった。。
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良い日だった。廃屋の中でテントを張ろうかと考えたけど、やっぱり自分の中の理想に少しでも近づけるために雨の中でも走ってすごく良かったなあと思う。嬉しい出会いにまた感謝感謝だ。