HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

大きな山を超えて(アテネ Αθήνα↔︎ハランドリΧαλάνδρι)

1日限度額のことはやっぱりその通りで、この日、新たにお金を引き落として、ブローカーさん宛ての振込先を入力し、750ユーロを銀行内の機械に突っ込んだ。

支払完了。この振り込みを確認したらブローカーさんが手続きを進めて、ギリシャの友人の家に発送してくれるそうだ。この後はその家に向かい、カメラを受け取る。

事態が発覚してから1週間ちょっと。いちばん高い山を超えた。いや長かった、暗かった、汗だくだけど冷たかった。ひと段落ついて安心した。

安心したついでになんか普段だったら買わないはずのアイスコーヒーとかスピナッチパイを買って食べた(計5ユーロ)。

これでカメラを受け取る算段はついた。

何気に難しそうなのがこの壊れてしまったカメラ。愛着があるし恩があるし質の高いものだし、なんとか生き返って誰か自分でない良い人の手元に渡って欲しい。

とにかく、一眼レフの弱点は重いことだと思う。特に旅する自分にとってこの重さは致命傷。一番手っ取り早いのは捨てることだけど、前述の理由からとても捨てる気にはなれない。かといって直すのにもかなりお金がかかる。壊れたまま持ち運ぶには重すぎる。何気に大きな問題。

とりあえず、カメラが売れるか確認したい。こういうのは都市圏にいるうちにチェックするのがベスト。ここ、首都アテネでしらべてみる。が、少し見て回った限り、直接店舗で買取はやっていないようだった。

今はオンラインで直接やりとりするのが基本だそうだ。でもこんな、動かない、直すのにお値段いくらかかるかもわからないカメラを個人間のやりとりで売るのはトラブルが起こりそうで嫌だな。と、いろいろ考えたり店巡りをやっているうちに日が暮れた。

明日はとりあえずこのカメラが直せるかどうか、直せるとしたらいくら支払うのか、修理屋で確認したい。マップで検索して出てくる修理屋を調べると明日はどこも休業している。土日だ。

これは間が悪い。

作戦変更、いつまでも首都圏にとどまっていても高いしゆっくりできないし友達できなさそうだし、なんか苦しいのでここは友人宅の方面に向かって出発し、友人宅近くの第二の都市テッサロニキの修理屋を当たろうと思った。

この大きな山を越えるまでにたくさんたくさん考え事ばかりで自由に走れなかったから、はよ走りたい。

アテネのカフェでパイを頼んでコンセントとWi-Fiをもらって作業をし始めた。

2時間ほど作業をしたこる、店員さんに「一回のオーダーにつき1時間までだから注文するか出て行くかどちらかにしてくれ」と言われた。それ以上注文しないなら出て行けって。そんなルールどこにも書いてはない。他にも10席くらいあったけれど、このお店はガラガラだった。

お店の都合としては当然の話、日本でも同じような対応をするお店は多いと思う。

でもなんだろな、こう、アルバニアとかモンテネグロとか北マケドニアで「Wi-Fiを貸して欲しいけれど良い?」と頼めばすぐに席を譲ってくれて、むしろコーヒーを出してくれた人たちと出会ってしまっている以上どうしても比較してしまう。

ギリシャ、これらの国と比べるとEU圏だし、経済的には進んでいるということになるのかな大雑把に。そういうところだと、自分みたいにお金も落とさないのにカフェに長居する人間はこうして邪魔者になる。

逆にアルバニアとかだと、目の前に現れただけで笑顔で迎え入れてくれたりする。

自分の目線から見るとどちらが気持ち良いかというと言うまでもなく後者。

けれども社会全体の規模感で見れば前者のあり方が最適なのか。

こんなことまあ散々議論されてきたんだろうけれど

改めて、やっぱりなあ、自分はこの、後者の人々の持っている心の余裕がやっぱり素敵だと思ってしまう。みんなが後者の人たちのような顔したまんま、お金の面でも困らず愉快に人生送れないかって、そういう方向から考えたくなってしまう。

ぼくは、社会のシステムを外れているとまではいかないまでも、おそらく多くの人と少し異なる位置に立っていて、そこからだからこそ見える美しさを、自分の中心に据えていたいと思う。そこから世界は創られて行くのだと思っている。

 

日本からカメラを送ってくれる恩人の方からのメッセージで知ったけれど、送られてくるカメラのことで、また大きな大きなサポートを受けた。なんかもう、どうしよう、震えていた。自分は何か返したい、という気持ちになっていた。

カフェで頼んだパイは1.5ユーロ(200円くらい)

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この日もまた昨日と同じ公園で野宿した。夜23時ごろ、小中学生の5人組のグループがテントのすぐ近くでキャッキャと遊んでいて、その声で寝付けず。かといってすぐに出て行って邪魔するのもなんかなあと思いながら様子をテントの隙間から覗いたりしながら眺めていると、テントにも近づいてきたから「こりゃ挨拶しようか」と思ってゴソゴソ動いたら、すぐに走り逃げ去っていった。テントや自転車に何もいたずらされなくて幸いだった。ドキドキはするけれどこう言う時ってすぐに出ていって話でもしたほうがいろいろと良いんだろうなあ。

翌朝

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都心と野宿場所の距離感はこんな感じ。