結婚式の撮影を頼んでくれているギリシャの友人、エヴァが心配してくれて電話をしてくれた。「撮影については全然無理をしないで良いんだからね。スマホのカメラで撮ってくれるんで構わないからね。そもそもあなたはゲストなんだからね。この国は頭おかしいくらい税金が高いから本当に無理しないで」と念押しして言ってくれた。
そうか、このままお返しすればこの税金はかからないのか。
そこでふっと考えが浮かんだ。
結婚式まではあと1ヶ月以上ある。一旦カメラを日本に返して、周辺国の中で税金の安い国を見つけ、そこに送り直して貰えば、もしかすると一番負担が少ないのではないか。
お金を払うにしても投げ銭で行動している以上お金が必要になるということは誰かへの負担になるイメージがある。一度日本に返せば、また配送作業してくれる恩人の方に負担をかけてしまう、が、今回の場合、金額が金額だから、もしかするとそれも踏まえて自分含めたみんなが一番ハッピーになんじゃないか?
とりあえず、調べてみようと思って周辺4カ国の友人に尋ねてみた。アルバニア、コソボ、北マケドニア、トルコ。出会った中で距離が近く一番協力してくれそうな人にメッセージを送った。トルコの人は真摯に返事を返してくれて、こんな急なお願いなのにわざわざ税関に勤めている友人に実情を尋ねてくれた。
トルコは前回日本から送ってもらった寝袋を安く受け取れた実績があるから期待が持てる。カメラを取りに行くためにトルコまで走ってまた戻るというのもなかなかロマンがある。が、結局、高額なものを配送する場合の税金はギリシャと変わらないようだった。断念。
他の3カ国も返事を待ったけれど、流石にこんな質問に答えられる人はそうそういないだろう。1日待っても返事はなかった。何せ大金がかかっている。結論は急がない方がいいんじゃないか。もう少し保留にして調べてみようか。頭が加熱する。
が、日本からカメラを配送してくれた恩人の方にも相談して「いろいろな手続きにかかる手間を考えればこの金額でも支払って受け取る方が良い」と諭してもらい、そのおかげでヒートアップしていた頭が冷静になった。
そうだな、やっぱりここを支払うつもりで乗り切ろう。
幸い、15日にFacebookに投稿した近況報告を受けお振り込みをしてくれた人たちのおかげで、口座にはカメラを受け取るのに充分なお振込をいただいていた。本当に本当にありがたい。
自分はこんな体たらくなのに手を差し伸べてもらった。申し訳ない気持ちが強めの感謝が湧いてくる。いやもうどうやってこの恩をお返ししていこう。。暑さとは別の理由で汗が滲んだ。
ここに書いてあるよりもいろいろと細かいことに頭を使ってなんかもう気分は殺伐としていた。
そしてもう一つ、この支払いでお金がほとんど無くなってしまうことに対しても怖さが湧いてきた。ここまで10万円近く持っていたことは安心材料だったんだな。改めてこの安定感を手放さなければならないと思うと怖くなってきた。あー、やっぱり怖いんだな。自分がよりどころとしている安全の根拠、たくさんのお金をその拠り所にしていたんだな。いざ手放すときになると湧いてくるこの恐怖感。そこにどう対峙していくか自分は試されているのだと思う。
この日も昨日と同じ場所で眠った。また9ユーロ追加。