アダナを出発。80キロ弱移動。
いよいよ北への移動がはじまった。ぼくの中では「いよいよ」だ。それはこの移動がとても厳しいものになることが予想されていたから。トルコの内陸部は標高が高くて最低気温が−20近くまで落ちる地域がほとんどだ。この地域の現在の映像や写真を確認すると雪が積もりまくっている。
初めての体験だ。こんなところを進んだり野宿したりできるのだろうか。いや、やってみなければわからない。このために装備を整えた。ギリシャを旅している時からずっと心配だった本格的な冬の旅がはじまった。
この日は雪のあるところに到達はせず、標高1000メートルくらいのところまで登った。とてもキツかった。お腹が減っているわけでもなく、身体が疲れているわけでもなく、体調もほとんど回復しているはずなのにすごく疲れた。辛かった。。
村を通った。畑を見た。途中呼び止めておやつをご馳走してくれたひと、ぼくの前に車を停めてケバブとアイランとお菓子をくれた人。一緒に写真を撮ってくれと駆け寄ってきた人。出来事は小さくて一瞬だけれど関心を向けてもらえることに感謝している。
のこり1km、400mというところで登り坂が急激にきつくなる。20mくらい自転車を押して立ち止まってを繰り返した。走るために旅してるなんて言ったけれど、こんな瞬間を生きている時は旅なんて辞めたくなる。
たどり着いたのはアブドゥラルさんという人の家のなにやら大きな施設。ここではクルアーンの勉強会のようなものがあるらしい。このアブドゥラルさんは、学生寮で出会った大学教授のレヴェントさんが紹介してくれた。言葉はトルコ語だけだけど、とても丁寧でしっかりとした、熱心なムスリムだった。ぼくのためにアッラーに祈りを捧げてくれた。美味しい食事をいただき、シャワーを浴びて、薪ストーブの焚かれた部屋で温かい布団の中で快眠した。