大晦日だからと言って特別なことをやろうとせず、行けるところまで行ってみようと思って走った。
山道をたくさん歩いて登って疲れて「このままこんなことを続けて、自分は一体どうなるんだろう」とあれこれたくさん想像した。けれど、いかなる未来も確信を持つことはできないし、なんだか思いつくことがどれも本質から外れているような気がした。頭を働かせても辿り着くことはできない。とにかく歩けば、このモヤモヤも晴れる。とにかく歩けば。
そう思ったところで立ち止まった。そんなに怖い顔をするな、俺よ。もう充分すぎるくらい幸せで楽しくて面白い思いをさせてもらっている我が人生。どこぞの誰それよりも素晴らしいのかは分からない。けれど自分が感じる限り、本当にたくさんの濃い出来事を経験させてもらうことができた。
なんだか景色が明るくなったような気がした。身体の緊張感が変わって力の入り方が変わって筋肉がふわりとした気がした。また、足を動かし始めた。
途中立ち寄ったスーパーで出会ったバングラデシュ人の人の家にお世話になることになり、誰かと一緒のあたたかい年末を迎えることができた。
2020年は初めて海外への自転車旅行を敢行して、生まれて初めて一年の中で日本にいる時間よりも海外にいる時間が長くなりました。こうして旅して出会ったことをまとめて記事にして他人に届けて、そういういわば自分の「作品置き場」を持つこともできて、そこで生まれる流れからお金をいただくこともできて、自分の中ではやっと「就職したなぁ」という感覚があります。「就職」とはつまり「そこに心を込めてずっと打ち込んでいくんだ」という肚の座りなんだと思います。
たくさんの新しい仲間もできた嬉しい嬉しい一年になりました。応援してくれる皆さんのおかげであることは言うまでもありません。本当に本当にありがとうございました。行けるところまで伸び伸び行ってきます😊
66kmくらいの走行。
動画
朝起きてガソリンスタンドの方に行くとアリさんとヤシャルさんは変わらず起きていた。2人とも夜勤だ。
スタッフ室にお邪魔してブログを仕上げていたらアリさんから「一緒に写真を撮ろう」と誘ってくれた。Facebookでも繋がった。
アリさんとヤシャルさんが勤務を終えて帰った後も少し作業を続けていたら別の従業員さんが「マイフレンド」と声をかけてくれて、朝食をいただいた。ありがとうございます😊
オリーブとチーズとパン。これだけで毎日続いても飽きないくらい美味しい。
ガソリンスタンドを出発。良い天気。
海際を通る。色がやっぱり地中海だなぁ
ニュータウンっぽい雰囲気だな
今日の道は山登り祭りだー、自転車を押して歩く。
押して歩くのは辛いけれど登ると良い景色が観れる。
下る。ブレーキがすり減るのが心配。
休憩がてら記念撮影。
Turkey(トルコ)のTurkey(七面鳥)。途中通り過ぎた村にて。
尚も走る
変なドームを見つけた。
中は雨水だらけだった。
登り坂が何度も現れる。その度に自転車を押して歩いた。この姿はめちゃくちゃ目立つのだろうね。一台の車がぼくを追い越したところで停車した。
自転車を載せて途中まで走ってくれるとのこと。すごくその助けを求めていたわけではないけれど、人と関わる良い機会なので甘えさせてもらった。
メリフさんという人だった。英語はほとんど話せないけれど、辿々しい英語で何箇所か歴史的な重要なポイントを教えてくれたりした。木こりのような素朴な優しさを感じた。
去り際に水と50TL(700円くらい)札をぼくのポケットに入れてくれた。ありがたく受け取った。連絡先を教えてくれて「行き先でなにかトラブルがあったら連絡してね」と言ってくれた😊
さらに海の方向へ走る。そろそろ日が暮れる。今晩はどこで新しい年を迎えるのか。と、ここでお腹が空いてきたのでスーパーに立ち寄ることに。
スーパーに入ろうとしたら手前の喫煙所で一服しているお兄さんに声をかけられた。とても流暢な英語だ。
自分の旅のことを話し「いつもどこに泊まってるの?」という話題になり、「それならうちに泊まっても良いよ!」とひっくり返りそうなくらい軽やかに助けてもらった。
マンジューという名前だった。38歳。バングラデシュに生まれ、父の仕事の都合で1歳でロンドンに移り住んだ。今はロンドンで自営業でいろいろな仕事を手がけているそうだ。
毎年この時期には休暇でどこかしらの国をバックパック旅行するマンジュー。今年はトルコに来ていたのだそうだ。
旅行経験が多いのでこちらへの配慮の仕方がとてもスムーズでとてもフレンドリーだ。
彼の家はこちら。ここは彼のお姉さんの別荘だそうだ。
小高い丘から景色が見渡せる。
とりあえずテラスでパンをいただく
この日はマンジューがカレーを作ってくれた。バングラデシュのオリジナルというよりも日本風にちょっと寄せてくれているらしい。
ブランデーとグレープフルーツでカクテルも入れてくれた。
この野菜とのあいがけもまた絶妙にあう。
これがもうとんでもなくおいしかった。日本のお店で好きなカレー屋がいくつかあるけれどそれらを超えた。
自分は別にカレー通でもないし、特別な環境下であることの補正がかかっているかもしれないが、それを差し引いてもすごかったと思う。
思わぬ出会いから素敵な大晦日を過ごした。共に日本、バングラデシュ、イギリス、トルコのそれぞれの2021年の始まりを祝った。
そのあとは少しジェンガで遊んだ。
すぐに眠くなってフカフカのベッドで快眠させてもらった。「2021年の始まりはどこで野宿するんだろう」と思っていたのにこんな面白い出会いに恵まれた。2020年は始まりから最後の最後まで、たくさんの人に護ってもらった嬉しい一年だった😊