ジェイクの印象を一言で言うなら「でっかい愛」みたいな男だ。いつも誰とでもぎゅっとハグして挨拶する。おやすみも行ってきますも、ハグする。しっかり力強く。そして柔らかい笑みを浮かべる。彼やその周りの人にとっては些細で何でもないことなのだろう。でもぼくはそこから彼の愛情深い人柄の片鱗が感じた。そのジェイクと普段通りの挨拶ができなかったのは残念だった。メディアや「専門家」が言っているだけの、確証もない「危険」を根拠にこの尊い挨拶を避けねばならないというのは悲しいことだと思った。
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アイルランドに向かって走り出した。
アフリカに直行、いつも通り最安値で考えるならまずはフランスに行くため、Doverに向かうのが普通。
ただ、無料で海を渡れる可能性に目を向けた。ヒッチハイクするかのように誰かの船に無料で乗せてもらえるかもしれない。
もし、無料でアイルランドまで送ってくれる船を見つけることができたら、アイルランドを南まで突っ走り、また無料でフランスやスペインに送ってくれる船を探す。
海を渡るにはどうしてもお金をかけなければならないというのは、自分の旅ではネックだった。これをなんとかできれば旅の幅は広がる。
ネットで調べたところ、アイルランドへのアクセスは普通40ポンドくらいでフェリーに乗せてもらうものなので、無料で送ってくれる船の存在なんて知っている人はいない。
自分にも船旅のイロハは全くないし、インターネットを漁っても埒があかないので、自分の足で行って確かめるのが一番手っ取り早い。というわけでアイルランド行きの港がある町に向けて走り出した。
自転車はカロリスたちの修理のおかげで随分ペダルが軽くなった。自転車の本来の性能を思い出す。前カゴもかなり頑丈な印象。本当に感謝である。
海が近くなり、立ち並ぶ家に高級リゾート感が出てくる。
寝場所探しではなかなか協力的な人は現れないけれど、全てのことが最終的に良い出会いに繋がっていると捉えればこれもまた必要な時間。ということが感覚でわかってきた。
アランという農家さんの協力により彼らのファームにテントを張らせてもらい、食べ物もお願いして分けていただいた。
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リビング。ここで1週間近く寝泊まりさせてもらい、作業と、考えを深めるのに有効活用させてもらった。大変居心地が良くてただ瞑想するだけでもよかった。
ありがとうジェイク、お大事に。
グラスゴーは「bike for good」から始まってたくさん良い友達と出会えた思い出深い場所になった。
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3週間くらいの間にかなり暑くなった。それでも風が涼しい。さすがスコットランド。
久々の走行なのでリハビリとする。仮に移動距離10km程度でも良い。ちょっとでも疲れたらすぐ降りて歩く。休む。そういう道中。スーパーでビスケットとコーヒーを調達したり、ウェットティッシュが必要なことを思い出して追加で買い足したりした。
この日は農家さんのファームでのキャンプを許可してもらった。写真の奥に写っているのは海。
この日助けてくださったアランさん。
食べ物を届けに来てくれた。
卵をいただいたのでいつもの味気ない料理の彩りに加えさせていただいた。卵は高いし保存性も悪いから自分じゃ絶対買わない、食べる時にもらえるとありがたいものです。