HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

あたたかく迎え入れてもらう(Forss→Bettyhill)

雨が断続的に降っている。ずぶ濡れのままテントを片付ける。準備が終わる頃には正午近くなっていて、仕事から帰ってきた農夫さんからコーヒーをボトルいっぱいいただいた。

アップダウンが多いを進む。ひとつひとつはそこまで高くないけど登りはほぼ全部自転車を押すし、向かい風や断続的な雨が続くので結構タフなライドに感じる。

7時間くらい走ったあたりで泊まる場所を探す。

窓から手を振っているところを発見してくれた男性が2人、ぼくが喋り出す前に「寒いでしょう、中に入って、何か飲むかい?」と尋ねてくれた。

「ああ、これは嬉しいなぁ」と改めて思った。こちらが何者なのかもはっきり分からないのに受け入れてくれるこの感じ、もちろんこれまでもたくさんそういう出会いはあったけれど、なんだかんだそういう人は決して多くはない。

寝場所に関してはすぐに裏庭のキャンプを許可してくれて、中でコーラを飲みながら話している間に居間のソファで寝させてもらえることになり、シャワーも使わせてもらえることになり、晩ごはんは食べたか尋ねていただき、チーズとトマトのサンドイッチを美味しくいただいた。

80代のご夫婦と60代の息子さん、音楽が大好きなようで見覚えのあるレコードがたくさん、お父さんのジムさんはいつも鼻歌を歌い、息子のジョンさんはいつも細身の身体をクネクネ動かしている。音楽一家だ。

そのあと家族みんなでのテレビでのフットボール観戦にもお祭り気分で参加させていただいた。

マンチェスター出身の彼らのサポートチームはマンチェスターシティ。今日のゲームはリーグ終盤の、優勝に大きく絡むゲームだそうで、彼らの盛り上がりがすごい。今日のゲームの勝敗は突然現れたぼくの持っている運気にも関わっているらしい。勝てば天使、負ければ悪魔。軽く緊張する。笑

結果はベルギーのケビンというストライカーが4点も決めてダメ押し1点追加でマンチェスターシティ余裕の勝利だった。観戦中いただいたオーストラリアのワインが飲みやすくて美味しかった。

ジョンさんは本を読み、ぼくはパソコンで作業。ポツポツ彼はぼくに旅のことを尋ね、答える。ジョンさんは20年間ミュージシャンをやっていた。それから子供ができて、「ちゃんとした父親」になるためにセカンダリースクールの歴史の先生になったそうだ。経済的に成立しにくい生き方に挑戦していた経験があるからか、ぼくの挑戦にも理解を示してくれているようで居心地がよかった。

スクラムスというローマ帝国からの奴隷解放者の本を読んでいた。人類史でただ一つの奴隷解放の成功例だという。ジョンさんを見ていて歴史に精通するのは本当に良いだろうなぁと思う。

ただ、自分が同じことをするには膨大な時間を情報収集に費やさなければならず、歩く時間がなくなることが不安で、なかなか手を出すことを渋っているし、ということは結局興味がないのかなと思ってしまうけど、うーむやっぱり改めてすごい人と出会うとそういうの憧れちゃう。

歩いて写真と動画撮って日記書くので精一杯の自分の発信はこういう人の知っていることからすれば薄っぺらいのだろうな思えてしまうけれど、「人の道は無限に広がっている」と思い直して踏みとどまった。

ジョンさんは「君は何かを探しているの?それとも逃げているの?」という質問が面白かった。「こういう生き方に引っ越しをしたんです」としか答えられず彼の意図に沿えたか微妙だったと思うけど、ものごとを深慮しているのが感じられた。ビールとビスケットをいただき、8割くらいぼくが食べきってしまい、気を遣ってくれたジョンさんがもう一つサンドイッチを作ってくれた。

明日は近所の海岸を案内してくれるということになり、嬉しくなった。作業するつもりだったけど寝付けずダラダラネットサーフして、寝始めたのは深夜4時くらいになった。外は少し明るい。今日は大丈夫かな。

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