次の場所へ出発。目的地は特に決めない。なんとなく、少しずつクロアチアの方へ向かう。
そこまで強くはないけれど雨が降っていてなかなか大変だった。カメラをコートの中にしまって走る。道中の景色はほとんど撮れていないし、撮ったものもレンズが濡れていてぼんやりとしか写っていない。
道はほとんど平坦で走りやすくて、途中5〜10世帯くらいの古い家が集まる集落を通り過ぎた。看板が立っているそばにきっと歴史的に何か大事なものであろうちょっと壊れた教会が立っていてその横をたくさん通り過ぎた。山の間の道を走って、遠くに広い平原が見えた。ボスニアヘルツェゴビナは国土が広いなあと地図で眺めていて想像した通りに、そういうゆったりした広さを感じた。
暗くなってきて、どこかカフェかレストランに留まって作業と寝場所の確保をしたかったけど、何も見つからない、何もない。今までは2〜3時間も走れば何かしら見えてきたのだけど、この辺りは全然そういうものは何もない。真っ暗になっても何もない。あるのはちょっとライトアップされている壊れた教会くらいだった。
登りの道を手押しでゆっくり歩いて進んで、ようやく街に到着した。もう作業なんて言ってられない。寝るだけだ。
道ゆく人やレストランの人や、しまいには警察署を尋ねて、教会のある広場の屋根のあるところにテントを張っていいか尋ねたら「なんだよそんなのいちいち訊かなくていいさ」という雰囲気でOKしてもらえた。国だとか街が管理しているとかで何かと禁止されやすい日本人的には「へえ〜大丈夫なんだなあ〜」という肩透かし。ありがたかった。
黙々とたくさん進んだ日だった。
〜写真〜