昨日の夜、キャンプをさせてもらったところで、近くに旅行者らしき車があった。
朝、荷物をまとめて車の前を通り過ぎようとすると人がいた。声をかけた。
スイスからのカップルの旅行者だった。
男性はスイス人のフィリップ、女性はロシア人のアデリナと言った。アデリナは子供の頃にスイスに引っ越してきたと言っていた。二人とも30歳。
車の中を見せてもらってびっくり。もはや、家だ。
最近流行りつつある(気がする)モバイルハウスというやつか。
彼らは3ヶ月前から旅を始めていて、これから本格的に長くこの旅暮らしをやっていくつもりだそうだ。
この車は1年半近くかけてノウハウをゼロから学んで、快適に生活できるように改良したそうだ。
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自分はこの日、カフェかどこかで作業するつもりだったから彼らのこの「家」の近くで作業をやらせてもらうことにした。電源もWi-Fi(モンテネグロには通信料500GBの大容量旅行者用SIMが販売されている)も快く貸していただいた。
なんとなんと、フィリップお手製のチョコケーキと豆乳コーヒーまでシェアしていただいた。美味しい😊
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フィリップとよく話をした。彼はとても物腰の柔らかい、落ち着いた声色の青年だった。
日本のことをいろいろ尋ねてくれて、お互いの話をしばらくして楽しんだ。
スイスはスイスジャーマンと言うドイツ語のスイス人バージョンを話すらしい。スイス国内でも四方言に別れていて、スイス人はドイツ人のドイツ語を理解するけどドイツ人はスイス人のドイツ語が理解できないんだとか。
スイス人の性格は日本人の繊細な部分にすごく通じる部分があるなあと感じた。物静かなイメージで、ドイツ人がすごく陽気に力強く話しかけてくるとちょっと距離を置きたい気持ちになるんだとか。
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彼らはタイムリーに茂木健一郎の「IKIGAI」を読んでいて、いつも説明に困る日本人のメンタリティにも理解があるようだった。自分の旅もまあ生きがいを求めて始まっているようなところがあるので、こういうことを理解してくれていると話が合う気がする。この本は読んでないですが。
作業を続け、夜は暖かい車の中で作業を続けさせてもらった。夜は風が強く吹いて寒かったのだけど、車の中で過ごしているともう、普段の暮らしとは快適さの次元が違った。自転車移動のテント生活に慣れてきたけどまあやっぱりちゃんとした家の中で過ごす心地よさって異次元だなあと実感した。
それでも自分は自分の足で旅することを望んでいる。自分はほんと変わった奴なんだなぁ。いモバイルハウスは体力気力がなくなってきた時の選択肢としてアリかもしれない。
晩御飯はフィリップがクスクスで美味しい料理を作ってくれた。ギリシャでいただいたトマトソースも使ってもらった。
食後は旅の途中でいただいたという手作りのお酒を飲ませてもらった。フルーティでアルコールの強い不思議なお味。ボトルまで手作りだそうだ。
彼らの横に自分も家を建てて就寝。
この生活は続けていきたいけれど、具体的に金銭面でどうやって持続させて行くのか、フィリップも悩んでいるそうだった。動画を頑張って作ってみているけれど作業がすごく大変で目の前の生活を楽しめなくなったこともあるそう。インスタもある。
うん、自分もそういう悩みをずっと抱えている。先々どんな風に続けられるかわからない。けれども、いや、だからこそ、かもしれない、続けていきたいと思う。同士がまた増えたような気がして嬉しかった。