HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

あの世まで持っていける宝物(Southam→Winslow)

出発して次の場所に向かって走る。丘の上の家から降って道路へ出た。

レベッカは丘の上からぼくの姿が完全に見えなくなるまで見送った。そして最後の最後、僕に大きな声で何か別れの言葉を力一杯叫んだ。その声が丘いっぱいに響いた。

この声が深く深く心に残った。泊まらせてもらうことも食べさせてもらうこともいつも嬉しいことだけど、耳に残ったこの声と目に残った丘の景色は深く心に残って、あの世までも持っていくことのできるすごい宝物だと思った。

・・・

出発する前、別れが惜しくなって撮る。

・・・

アフリカ大陸上陸を目下の目標としてフランスに向かう旅、再開。引き続きドーバーに向かって自転車を漕いでいく。

・・・

自転車の籠が壊れてしまった。結束バンドを使って留めれば何とか使えそうだけどそのためにいくつかドリルで穴をあけたい。持っている人が必要だ。

そこへ車に乗ったおじさんが通りかかって声をかけてくれた。早速相談すると自分の家の倉庫まで連れて行ってくれて、ドリルで穴を開けてくれた。結束バンドで留めて応急処置くらいの修理ができた。

そしてその後ちょっとご馳走していただいた。

「ちょっと着いてきて」と彼の土地の一角へ。

見せられたのはこの地面。

ある日、ここに調査員がやってきて、ダウジングマシーンで金属探知の調査をしたら11世紀ごろ流通していたローマの銀貨がごっそり出てきたそうだ。

この銀貨は博物館が保存のため、土地の持ち主だったおじさんから買い取ったそうだ。

この件はWikipediaにも乗っている(英語のみ)。

それで何千万円というお金がごそーっと入ったそうだ。そういうお金の入り方というのも現実にあることを目の当たりにした気がして、お金は身を粉にして命を削って初めて手にすることができるんだという自分の中でずっとこびりついていた常識がまた一段と剥離していく感覚が心地よかった。

ありがとうございました!

・・・・

バーの人に寝場所を尋ねると近くの静かな公園を紹介してもらった。自己紹介をするとビールを奢ってくれた。イギリスのパブで飲むなら自分はエール系のビール。ぶっ飛ぶくらい美味しい😊

お店が閉まるまで楽しみました。ありがとう!

・・・

テントを張りおえたくらいのところで先ほどのバーの青年がライトを照らしながらやってきた。彼はランニングの途中だったみたいだ。

彼は僕に何かを伝えたいようでスマホに何か英文を打ち込んだ。

彼には18年前に脳腫瘍で亡くなった従兄弟がいるという(彼の見た目が30代っぽいから従兄弟さんは相当若くして亡くなったと思われる)。それを受けて彼は現在脳腫瘍の患者さんを支援する団体のチャリティーのためにランニングをしているそうだ(走ってた分だけ寄付金を送るシステムがあるんだろう)。自分が走って頑張っているからこそ、ぼくに対しても応援の気持ちを向けてくれた。

バーで飲んでた時はなんか気のいい酔っ払いの兄ちゃんくらいにしか思わなかったけど、こうして人には真剣な事情があるんだということを目の当たりにして良いものを見せてもらったような気がした。