HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

自分の尺を把握する(レッジョ・エミリアReggio Emilia)

ルチアから紹介された友達から連絡をもらった。彼女は大学院で「新時代のノマドライフ」を研究しているらしく、ぼくは良いサンプルになるので「家を形作っているもの」を並べて写真を撮って資料とさせて欲しいというお願いをされた。

これがなかなか大変で、今滞在している団地の共有広場のような場所に荷物を並べ、マルコから脚立を貸してもらって俯瞰で撮った。所要時間3時間弱。通りがかる人々やバルコニーに出てきた付近の住民からの奇異な視線を痛々しく感じながら任務を遂行した。笑

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「自分が満足して生きるために何が必要なのか」ということを考えるのは大切なことだと思う。それを突き詰めるほど社会の常識や他人の価値観に惑わされない、自分が本当に納得できる豊かさや幸せに繋がっていくと思う。

自分の体験談を例に、ドン引きされるだろうと思いつつも大真面目に言うと

2週間くらいシャワーを浴びることができなくても大丈夫だ。いや、もっとかもしれない。

もちろん、快適というわけではない。が、想像していたよりも案外普通であることを実感した。スーパーとか人気の多いところに行っても異臭を訴えられたことはない。とはいえ何もしていないと汗疹で痛くなってしまうのでウェットティッシュで拭いたりする。でもその程度の辛さであれば旅のワクワク感が勝る。

服の洗濯も同様に大丈夫。身体と同様で洗い立ての気持ちよさには到底及ばないけれど、洗っていないと言う事実で心を病んだりはしなかった。

食べるものは別にいつも整ったテーブルでちゃんとしたお皿に乗った温かいものでなくても大丈夫。米やパスタにソースだけとか、人から見たらひもじい食生活の時もある。でも、こうして節約することは旅を長く続けることに繋がるので、むしろどの程度まで耐えられるのだろうと知りたくて楽しみになる。

食べる量は存外少なくても平気であることが分かり、むしろ体調はよくなることが分かってきた。一日平均1.5食くらいで大丈夫。必要な栄養を体で感じることができることも分かった。肉が食べたいとか、野菜や果物が食べたいとか、完璧にではないけど体が教えてくれる。体調を著しく崩したことはこれまでにはない。

日本食シックは未だかつて発症したことがない。むしろいつ起こるんだろうと楽しみに自分の気分の様子を伺っている。

人との繋がり方も旅する前より心地よく感じる。自分は昔から仕事とか家とか、長期間毎日顔を合わせる関係性になると大抵何らかの拗れを生じさせてしまい、だんだんお互いの居心地を悪くさせてしまっていた。おそらくそんなに狭く深い範囲の人間関係をやる時期が自分にはまだ訪れていないのだと思う。旅は長く深く時間を共にする必要は微塵もない。そこが自分にとても合っている。

お金は1年間で収入36万円。これはもちろん多ければ多いほどもっと自由が利くのだけど、注目すべきはこれでも振り返ると楽しい思い出がたくさんの1年間だったと実感できること。というか、この、日本の婚活市場ではゴミ扱いの収入でも楽しく生きられるのかという事実によりワクワクさせてもらっている。

「お金がない」というのは多くの人にとって不幸の象徴になっているところがあるけど、自分はその固定概念をひっくり返そうとしてるんじゃないかと、そういう発想でワクワクしたりもする。

そういえば、バルカン半島では何回も「お前はなんで結婚しないんだ?」と不思議がられたけれど今の自分からすると「何で人は結婚するんだろう?」という素朴な疑問が湧いてきてしまうくらい欲求の範囲に入ってこないのでこの辺り今のところ問題ない。

もちろんこれらは自分の場合の話。でも、大勢の人に通じると思うのは、その「自分の場合」をどんどん突き詰めていった結果、それが大勢の他人と全然異なってしまう部分がいくらでも発見されて良くて、それを否定したり我慢したりしないで素直に受け入れられるとスッキリ満足笑顔でエンジョイライフしやすくなるんだと思う。

他の誰でもない自分にとって何がどの程度必要で、どの程度我慢できるのか「自分の尺を把握する」ということ。そのために試行錯誤を重ねていくのは素晴らしいことだと思う。

自分は実際に旅をしていなかったらこんなこと、絶対に気づけなかった。インターネットとか本で調べて実際にやった人の体験談を見てみることはできるけど、やっぱりそれは初めの一歩でしかなくて、後の何百歩何千歩はやってみて、物理的にも精神的にもいろんな角度から「尺」を測って実感した。

旅する前と比べると今は世界の見え方そのものが違う。快適に過ごせる生活圏は圧倒的に広がったし、これから先にも無限の広がりの可能性を感じる。ワクワクってこういうことを言うんだろうなと確信できる。

もちろんそこに大勢の人とか一定の認めて欲しい個人からの共感なんてないけれど、それを超えていくことも含めて「自分の尺」にフィットした生き方に近づくことは生き心地を回復する一つの方法だと思う。

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ルチアがベジタリアンなのでいつもは肉を買わないのだけど、僕とマルコでエンジョイするためにいつもマルコが肉を用意してくれる。ありがとう😊

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