HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

ドキュメンテーター(レッジョ・エミリア Reggio Emilia)

レッジョ・エミリア発祥の幼児教育手法「レッジョ・アプローチ」ではドキュメンテーション(英Documentation/伊Documentazione)を大切にする。ということをマルコから教えてもらいました。日本語で調べればすぐ出てくるけどそういうことも丁寧に教えてくれる友達がいるなんて贅沢。笑

ドキュメンテーションを日本語にするなら「文書化」で学術界では厳密な定義があるようだけれど、「レッジョ・アプローチ」でのドキュメンテーションは活動の記録。学校や幼稚園での活動の様子を言葉や写真、音声、映像で記録して残す。子供たちの作った作品だけじゃなくてやっている最中の熱中している様子とか、喋っていた言葉とかそういうプロセスの部分も拾って残します。それによって本人が振り返る材料にしたり、ご家族はじめ、その場にいない人にも伝えることができる。

マルコはこのドキュメンテーションの大切さを理解しているので、ぼくの写真の関心の中心、理念みたいな部分を説明したとき、すぐに共感してくれました。

ぼくが「こんな写真を撮りたいな」という原点となった写真はまさにドキュメンテーションのための写真。

大学生の頃、高校生と体育館で座談会をするというボランティアに参加していたのだけど、その活動の記録の写真。その撮影をしていた人は静かに、場を乱すことなく、一人一人のボランティア大学生が高校生と話している最中の自然で生き生きとした瞬間を収めていきました。その瞬間の表情が今にも動き出しそうで、生きているかのようで「へー!写真ってこんなにかっこいいのかー!」と感動しました。

その時の影響を多分に受けて、フリーランスをしていた時なんかモデル撮影みたいな仕事じゃなくて、結婚式とかイベントみたいな、演出する必要のない、ドキュメンタリー式の撮影仕事を好んでいました。

ぼくは「写真家」とか「カメラマン」と呼ばれることが多いです。確かにその説明で誰も違和感は感じないだろうけど、自分はというと違和感覚えまくりでした。

知らない人に紹介する場面なんかではそういう、ざっくりとでもその人物が何者なのかを描写する言葉がついている方が便利だろうから、波風立たぬよう黙るなんてこともよくありました。

ぼくの中ではその肩書きを持つ人は写真での表現のために全力を注いでいるイメージなんですよね。すべてのエネルギーの最終的なアウトプットを写真に込めている。

自分にそこまでの熱量はないです。全力を注ぎたいのは旅することであって、写真はそれを記録しているに過ぎないイメージ。いつもブログに写真を載せているけれどぶっちゃけカメラが壊れたり無くなったりしても続けていたい。スマホで写真を撮るか、言葉だけで書き記すかで、とにかく旅を続けていられるようでいたいと思う。

この、自分の写真に対する熱の質って写真家とかカメラマンのそれよりも、普通に旅行する人がスマホで珍しい景色を撮るそれに似ているように思います。そういう人たちが自分のこと「写真家」とか名乗らないでしょ?

そんな、なかなか分かってもらえない感覚を持っているところにこのドキュメンテーションのアイデアを聴いて、自分はぶっちゃけドキュメンテーターじゃないかなと思いました。

そして、マルコたちを撮っていて思ったのは被写体がドキュメンテーションの価値を理解しているから、僕がカメラを向けても全然意識しないで自然体でいてくれる。カメラを意識する人だったらすぐにこっち向いてポーズなんてことがよくあった(バルカンの国々とかトルコはほんとそれ)。こちらを意識して動きを変えることも含めてその人の自然体ではあるからまあ別に良いのだけど、欲を言えば自分はその前のそのままの姿に惹かれたんだよなあ。写真を撮る人間というよりもドキュメンテーションする人間として知られればその欲も叶いやすいだろうなと。そういう意味でもドキュメンテーターが良いなあと思います。

・・・

一日作業する日はマルコとルチアが朝から仕事に出かけ、どちらかがザックを乳児院に連れて行く。自分は鍵を貸してもらって、一人でゆっくり落ち着いて作業をさせてもらい、午後になったらどちらかがザックと一緒に帰ってくる。そんな生活サイクル。

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アペリティーボ(前菜)がまた洒落てて美味しい😊

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