HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

ソフィアで自分にウケました 2020.9.23〜10.16

ブルガリアの首都のソフィアにいます。最後にインスタに旅の写真を投稿してからもう3週間以上。旅の様子をそこで実況するつもりだったのにスッカスカになってしまいました。日々大小様々いろいろなことが起こってそこからいろいろなことを受け取るので、なにも言わないでいるといろんな流れが止まってしまいます。鬱血みたいになります。なのでTwitterで呟くようにしました。ついでにこの期間に出国してからの3ヶ月も経ちました。

 

 

ここ最近の出来事です。

心の支えだった人に直接会えた

クレジットカードも持たずに160円だけを持って2002年に日本を出国。そのままユーラシア大陸をママチャリで横断。途中エベレストを海抜0m、所持金0円、燃料0から登頂。路上芸で生き続けて無帰国のまま現在も元気に生きてるすごい旅人、岩崎圭一さん。けいさんと呼ばせていただいている。

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ちょっと時をさかのぼる。今年1月のベトナム旅行よりも前。自転車旅の情報を集める中で、野宿について解説された記事を発見。それがけいさんのブログだった。自転車で、かつ「無銭」で行くという、その時の自分がやってみたい(というかそれしかできない)旅のスタイルを実践している人だった。たちまち心惹かれた。「なにも持ってなくてもこんなに旅ができるんだ!」という強い希望をもらった。しかも2002年、今より全然通信環境が整ってもいない時代から。以来、自分のこの不器用な自転車旅をどんなに辛く感じても「いやいや、もっとすごいことをやった人がいるんだから大丈夫」と、会ったこともない人の存在を心の支えとさせていただいた。

その後、2月、カンボジアからついにけいさんに直接ツイッターのメッセージでコンタクトを取ってその時抱えていた悩みを打ち明けて旅の相談をした。会ったこともない人間からの突然のメッセージだったにもかかわらず、とても丁寧に答えていただいたし、けいさんならではの体験を教えていただけた。その時の自分の不安はけいさんからのメッセージで思い切り晴れていった。

それから3月、タイからコロナの状況悪化で急遽日本への帰国を決めて、航空券代を募った時にも会ったこともないのにスッと支援していただいたりもした。勝手に心の支えにさせていただいた上に、ツイッターメッセージでのアドバイスに救われ、航空券代まで具体的に助けていただいた。

そんなけいさんとはいずれどこかで直接お会いしたいと思っていたところ、ギリシャの旅中にブルガリアのソフィアに滞在されてるというツイートを目にした。そこから淡い期待を抱きながら旅を続け、ブルガリアに入国してから「お会いしたいです」とメッセージを送り、ソフィアのカフェでついにご対面することができた。

けいさんからは旅の話を惜しみなく聴かせていただいた。自分からするととんでもない偉業を為してきた人だけれど、当の本人はなんでもない事のように笑う。その飾らなさから余計にビッグさを感じてしまう。お話はやっぱり面白くて各国の情勢や自転車の管理や野宿道具など具体的なアドバイスもいただいた。さらには1週間もホステルの宿泊費をもっていただき、いろいろな食べ物屋さんに誘っていただいてたくさんご馳走していただいた。

路上パフォーマンスも初めて生で見せていただいた。たちまち人だかりができてたくさんの笑いが生まれた。当の本人は「くだらないことしかやっていないよ」と謙遜されるが、路上を行き交う人の興味をひいて楽しませる工夫に溢れていた。さすが20年近くもの間、異国の地を渡り歩いてきたパフォーマンスだと思った。その写真を撮らせてもらえて感無量だった。

結局、会う前からたくさん助けていただいたけいさんに、会ってからもたくさん助けていただいた。けいさんはよく「自分も本当にたくさん助けてもらったので」と語る。その姿が心に残ってこれからことあるごとに思い出していくような気がした。けいさんに教えていただいた旅の話はやっぱりビリビリと痺れてしまったので別に書きたいと思う。

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↓けいさんのYoutubeチャンネルです。スペインやイタリアのテレビ番組に出た時の映像や、けいさんが旅先で出会ったパフォーマーの動画を載せています。テレビ番組という大舞台でも路上の時と変わらず笑いを生み出すのけいさんのマジックをご覧ください。

 

チリ料理パーティに招いてもらった

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もうひとり。みづきさんというソフィアに住まわれてる日本人の方とけいさんを介して出会った。みんな初めまして、旅人は近くにきたら軽く連絡をとって軽く会いにくる。みづきさんはチリ人の旦那さんと一緒にソフィアで暮らされていて、とても暮らしやすい環境のソフィアを気に入っているとのことだった。自分は今、とにかく動くために生きているのでどこかに定住する予定は全くないけれど、住むという視点から話を聴くととても興味深かった。

みづきさんの旦那さんのディエゴさんはチリ出身で料理上手なイケメンだった。彼の手料理を囲むパーティに同じくソフィアに住むチリ人やベネズエラ人の友達家族と共に招いていただいた。チリの家庭料理のエンパナダという南米のパイやテラスに備え付けられたグリルでバーベキューをふるまっていただいた。エンパナダは皮から手作りだった。これがもう本当に家庭の味という感じの優しい美味しさで、翌日一日中食べなくても良いくらい食べさせていただいてしまった。

この時出会った別のチリ人のアンジェロさん宅では後日、また別のチリ料理のパーティーに招いていただいて、ここではコンプレトスという、ホットドッグのような家庭料理を食べさせてもらった。やっぱりとても美味しくて翌日は一日中何も食べなくても元気でいられるくらい食べさせていただいてしまった。

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みんな自分と同年代くらいだった。場所にとらわれずにできる仕事を持って、生まれたところよりも住み良い場所を求めてたどり着いた人生の流れが素晴らしいと思った。素敵な時間をありがとうございました。

 

とても素晴らしい大道芸人の家にお世話になっている

けいさんに連れてきていただいて一緒に行ったマジックバーでアレクさんというパフォーマーと出会った。出会った瞬間からものすごくフレンドリーな人で「困ったらうちに泊まりに来て大丈夫だよ」と笑ってくれたので頼りにさせていただいた。意図されていないけれどバーに連れてきてくれたけいさんがご縁を繋いでくださる形になった。

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彼の人柄は本当に素晴らしくて、気を遣わせない居心地の良い空間を自然に保ってくれていたので、ここで次に旅立つ前にやっておきたい作業をさせてもらうことにした。結局それが伸びに伸びて2週間以上経った今もこうして彼の家からこの文章を打ち込んでいる。ずっとパソコンかスマホで作業ばかりしているこの日本人をあたたかく放置し、時折ご飯をぼくの分も作ってくれたり差し入れをくれたりしてくれている。本当に本当にありがたい。

  

手付かずだったデスクワークに手が回った

この旅始まって以来最長の滞在期間を持たせていただいたおかげで地味だけど大事な事が進んだ。年始から撮り溜めていた30000枚以上の写真や動画がパソコンの容量を埋めていたのでそれをクラウドにアップして容量を確保した。一眼レフで撮ったデータはひとつひとつがとても大きくて全て処理するのに5日間分くらい時間がかかった。これでまた元気にたくさん写真や動画を撮ってパソコンに入れて編集作業ができる。写真は貴重だ。カメラは無くなってもまた買いなおせば良いけれど撮った写真は唯一無二で、なくなったら取り戻すことができない。まだこれらの写真を使って見せていない出来事も山ほどある。なんとかなってよかったです。本当に。

 

自分にウケました

ひとつ心境的に大きなブレイクスルーみたいな感覚があったので簡単に書いておきます。これ故にブログを書き始めたって感じです。旅行記だから、あっちがどうだこっちがどうだって書けたら良いのかもしれないけれど、やっぱり自分はこういうことの分量が多くなってしまいそうです。以下、それがどんな感じだったのかを記しておきます。

お金の「問題」

自分は現状「稼ぐ手段」というものを持っていない。もちろん大した貯金もない。

なので、自己紹介の記事に銀行口座を載せて見ている人から旅費を募ることを「投げ銭」と称してそれを金策とした。前々からやっている方法だ。ありがたいことに、そこからこの3ヶ月を乗り切るのに大きな力となるくらい頂くことができた。(総額¥55555)

と、ここまでやっておきながらこの手段になかなか自信が持てなかった。何度も別の方法を考えた。上手いこと収入を得ながら旅をする方法はたくさんある。が、どの方法も自分にとってはなんだか違うように感じてそこに時間を割く気にはなれなかった。

結局「投げ銭」頼りなのだけれど、これ自体も苦しんだ。あまり意識したくはなかったけれど、どうしても「公開している銀行口座にいかに振り込んでもらえるか」という下心めいた感覚を常に何%か抱えながら旅をする。ウケの良さそうな投稿を作ろうとする。それを楽しむことができれば素晴らしいと思うけれど、自分の場合はこれが苦しくなってしまった。自ら設定したルールに自ら苦しんだ。

スッキリしないままのお金の「問題」を最初からずっと抱えてここまできた。

そんな折にソフィアで会った日本人の方々と稼ぎ方の話になった。ライブ配信や路上芸、契約会社との仕事、大体みんなちゃんとした稼ぐ手段が確立されている。そういう人をいざ目の前にするとその影響はなかなか響いた。めちゃくちゃ羨ましくなる。自分のことが情けなくなる。自分も頑張ればなにかひとつくらいできなくもないと思うけれど、相変わらず「なんか違う」と身体がやんわり拒絶する。

いや、マジでどうしよう。

いよいよ本格的に悩んだ。昔から悩むともういろいろダメだ。手が止まってしまう。ただ悩んで時間が過ぎた。

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ただ時間が過ぎる。自分はよくそんな状態になる。本当に悪い癖だなあと思う。が、なってしまうものはなってしまう。ので、良い付き合い方を探っているところだ。今はまっすぐ立って仲間のことやこれまで学んできたことを思い出すようにしている。日本の友達、旅先で出会った友達、思えばはじめに南極に行った時から彼らから教わってきたことをベースに自分の中の壁を超えてきた。

 

で、ふっと来た。

笑おう

よくよく思えばおれってなかなかウケる。いろいろ人生下手くそすぎてなかなかウケる。カメラとかパソコンとか良いもの持ってるのに稼げなくてウケる。ただただ助けてもらうことで生き繋いでいてウケる。ただの海外ホームレスでウケる。でも、それ故に素晴らしい人と出会えたり数奇な体験ができる。そこは良い意味でウケる。そうやってウケてるうちに思った。

いやもう、このまんま行った方が面白いんじゃないか?

旅なんだし、なんかこう、安定しちゃうと面白くないのかもしれない。「まとも」になっちゃうとつまらないのかもしれない。もともと何もない自分はこの意思だけを持って行くことをチャレンジとした。今一度その原点に戻ろうと思った。走って伝える。それだけを。

死ぬまでやろう。死なないし。

肩の荷が軽くなってきた。

これまでのやり方もすごく苦しかったからそれも見直した。

良い写真をできるだけ見せるように心がけていた。けどやっぱりそればかりだと辛い。ぼくから見るとそれは旅の5%くらいに感じる。

自分の旅はただ何もない普通の景色を流しながら見て、寝場所を探して、安い食べ物買ったり、いつも細かいことで困ったり悩んだり、時間を無駄に過ごしたり、とにかくこう、しょうもないことが95%くらいを占めている気がする。その全てとまではいかずとも、もっと話したくなった。今までよりももっとありのまま話してみたい。体験したこと、考えちゃったこと、下手な自分で旅をするその姿をできるだけそのまんま。

というわけで結論。

このままもっとやります。

 

これからのこと

いま具体的に考えていることはこの後の旅程です。欧州の特に西側でコロナの勢いが増しているようです。ぼく個人の健康は全く大丈夫なのですが、ロックダウンとかPCR検査とか隔離義務とか、人間様の取り決めが旅人の自分にダイレクトに響きます。加えて冬が近づいています。動きづらくなっていく気配の世界をどう進もうか。情勢も未知。気候も未知。冬の装備を整えたいのでお金をお願いするかもしれません。考えることがたくさんあるけれど、焦らずにやっていこうと思います。

ちょっと長い期間、引きこもっていますが、とても健康で元気に過ごしています。ほんとうにたくさんの素晴らしい人達に助けてもらっているおかげで、ソフィアではほとんどお金を使っていません。ありがとうございます。まだまだ旅を続けます。 

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ソフィアの夜景を現地の友達と一緒に見に行った時に。

〜〜〜

自己紹介記事を新しく書き直しました。

 

tajimax.hatenablog.com