ペルニクという街で野宿して朝を迎えた。スーパーで食べるものを買いに行った。
そこに自転車を停めたところでとても親しげに達者な英語で声をかけてくれるスポーツウェアのチャリダーのおじさん。自転車旅をしていることを話すとコーヒーでも一緒に飲もうとお茶の席に誘ってくれた。
おじさんの友達っぽい人たちとテーブルを囲んだ。友達さんたちはみんな英語が喋れなかったけれどおじさんだけがいろいろ通訳してくれた。おじさんの名前はボビー(写真左の人)と言った。
「昨晩はこの街の公園で夜を明かしたんですよ。」と話をすると「え、昨日?会えてたなら泊めてあげたのに〜」とちょっと残念そうにしていた。ボビーさんの家はこの近くにあるそうだ。なんて良い人だ。。
このままあと数十キロ先のソフィアに向かうつもりだったけれど、せっかくなのでボビーさんのお宅にお邪魔させていただき、一晩お世話になることにした。
ボビーさんの家は出会ったところから自転車で10kmほど走ったところにある村だった。
これがまたすごいお宅でありまして
なんて素晴らしい家だ。。。!
5日ぶりくらいのシャワーを浴びさせてもらい、
昼食を一緒に食べた。
美味しい。。。嬉しい。。。
ボビーさんは自動車販売の自営業をやっているらしい。頭の回転の速さと行動の速さを感じていたので自営業というのはイメージぴったりだった。
「自転車が好きな人を助けるのが好きだ」と言っていた。そんな嬉しい存在が世界に存在することを改めて実感する。
せっかくなのでボビーさんにこれからやってくる季節に備えて、冬の装備が余っていないか尋ねた。ボビーさんは速攻で友達何人かに電話をしてくれて、車で一緒に向かってくれた。改めて、車ってすごい。
何件か回ってスウェットとウインドブレーカーをいただけた。冬の夜の夜営を想定するとまだ足りないけれど、これでも心強い。
服をとりに行ったついでにテラスでいっぱいご馳走になったり。
ついでに立ち寄った公共の休憩所みたいなところにも連れて行ってくれた。
村の人の有志が屋根をつけたり、テレビや冷蔵庫を置いたりしてできているんだって。ちなみにボビーさんはここの屋根を取り付けたそうだ。
ボビーさんは友達がとても多い人だった。車で移動中いろいろなところで車を泊めてその辺にいる人を呼んで話始める。そしてどの人にもこの珍妙な日本人のことを話していた。何人かは説明を受けたあと面白そうにこっちを見て笑顔で握手してくれたりした。
家に帰ってボビーさんのお母さん。数独の問題集を解いている。今はもうリタイアしているがチュニジアで数学の先生をやっていたことがあるらしい。
驚いたのはブルガリア語を喋ってるはずなのに突然その問題集を指差して「すうどく」と説明。あれ?
あ、本当だ。キリル文字で確かに「СУДОКУ(すうどく)」って読める。すうどくって世界ワードだったんだ。津波とか過労死みたいに。
他にもいろいろと見せてもらった。
この人形の服が手編みであるとか
ここがお母さんが働いていたチュニジアの学校であるとか
これは何やら大切な人からもらった絵らしい。
関わりが生まれた人がどんなものに囲まれて暮らしているかを眺めるのはとても貴重な機会だと思う。
お母さんがいろいろ話してくれているブルガリア語0.1%くらいしか理解ができないけれど、それでもその様子と一緒に見るのがとても貴重な機会だった。
夕食はテラスのグリルでバーベキュー。友人も一緒だ。
もう全部たまらないです!!!
集まったみんなとそんなにたくさん言葉を交わしたわけではないけれど、ちょっとお金をくれたり、SNSの連絡先を交換したり、「俺もついて行きたいよ」的なことを言っていたり、向けてくる気持ちの暖かさを感じた。
翌朝はカフェでまたご馳走してもらってお別れ。
「困ったらまた連絡しなよ」とボビーさん。本当に助かりました。
元気よくソフィアに向かって走り出しました。
自転車好きが繋がって縁が生まれた。たくさん応援をしてもらった。
自分は誰のためでもなく走りはじめたつもりだけど、ボビーさんやボビーさんの友達から寄せられたあの面白そうな顔とか、いただいた応援の気持ちから、自分の旅そのものが誰かを面白がらせたり、希望を与えたりする可能性があることを嗅ぎとれた体験だった。
この先成し遂げることが何かした生まれたら、それはここで受け取ったものが土台になっている。感謝です。