ドゥプニツァという街に到着したあたりで日が暮れた。
この街のことは何も知らない。
自転車を押して少し街を探検するつもりでゆっくり歩く。
教会の広場で遊んでいた親子連れ。子供がこっちを見てくる(ヨーロッパの子供たちの視線は遠慮がないように感じる)。
笑顔を返していたら去り際に大きな声で「バーーーーイ!」と大きな声で別れを告げてきたので自分も同じように返した。
その様子を見ていた彼らが面白がって真似してきた。
「ハウアーユー?」
それがこの2人との出会い。
ブルガリア人の若者。ウラジミル(写真左・26歳)とヴァスコ(写真右・19歳)だ。
ウラジミルは多分、大工だ。すごく重そうな板を片手で持ちながらビス打ちをして家の壁を作っている動画を見せてくれた。
ヴァスコは大学生、建築をソフィアの大学で学んでいるそうだ。
2人と旅の話をしているうちに「明日もいるの?いるなら最高の場所に案内するよ」と提案してもらった。
翌日朝に待ち合わせすることに。
〜〜〜
翌日は待ち合わせをしてた。買い出しに行ってくるからここで待っててと待っていると買い出しついてにエスプレッソを2人分持ってきてくれた。
移動は現地まで送ってくれる友人を探したみたいだけど、残念ながら予定が合わなかったらしい。タクシーに乗って行った。タクシー代はぼくの分も払ってくれた。
タクシーでリフト乗り場に到着。リフトのチケットを買う時はかかった値段をレシートと一緒に教えてくれた。
彼らはとても丁寧だった。
ブルガリアにはフレンドリーに接してきておいて盗むを働く輩もいるそうで、そのことをとても気にかけているようだった。ありがたい心配りだ。
上に到着したらもうとにかく凄かった。
異世界。そこを案内してもらいながら行く。
すごい。とにかくすごい。シンプルな感想で申し訳ないけれどとにかくすごい。
湖を見ながら「あれは何番目だよ」とか教えてもらったり、「この先がもっと良い眺めだよ」とか教えてもらいながら歩いていく。立派なガイドである。
「ブルガリアって良いところだろ?」と笑顔だ。
「何回も来ているけれど、いつ来ても最高だよ」
"Best Nature, Best Country Bulgaria!"をみんなで合言葉のように連呼していた。
自分の国や自分の近くにある場所を純粋に好きで楽しんでいる
彼らのそんな感じが素晴らしいと思った。
彼らはランチを用意してくれた。
ロケーションはこんな感じ。3番目の湖のところ。
もうどんな世界だよって感じ。ずっと「すげえ〜〜〜!」と溢していた。
ランチを用意するウラジミル。
ヴァスコは巻きたばこを作っている。
こんな風にパンに載せて食べる。ブルガルア流ピクニックめしだ。
これがめーっちゃくちゃ美味しかった!!
この白いブルガリアのチーズがまたギリシャとは少し違う良い味。赤いケチャップのようなものはピザまんの中のソースに近い感じ。
こんなにすごい場所でこんなに素晴らしい手作りランチを地元の人からいただけるなんてそう簡単に体験できるだろうか。
ランチを済ませてさらに歩いていく。
2人はタバコ休憩を挟みながら少しずつ進む。
湖まで続いている湧水があってそれを飲んだりもした。
最後はこういうところまで登った。
なかなか疲れたけれどみんなで湖を眺めて喜んだ。
とても素晴らしい日になった。
もちろんこの場所はとても凄かった。
でも、何よりすごいのはこの2人との出会いだと思う。
彼らがここを紹介してくれていなかったら自分はここを素通りしていたし、湖の近くで美味しいランチはできなかった。
彼らと話すために声を発したことやこの場所であった細かいエピソードや彼らの心遣いが一番心に残る。逆に1人でここに訪れたとしても何も心に残らないんじゃないだろうか。
自分は東京に旅人がやってきたとしてもこんな素晴らしい体験をさせてあげられるイメージがない。ただただ脱帽と感謝だ。
自分はこの場所のこと以上に、こんなに素晴らしい人たちがいたことを伝えたい。
そんなことを彼らに伝えたら喜んでいるように見えた。