HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

トリカラでヘンドリに助けてもらう

ギリシャのトリカラに住むイタリア人のヘンドリに助けてもらった記録。

この時は野宿が2週間近く続いて、かなり参ってるところに自転車の荷台が壊れる事件発生。いよいよ本格的にやばい気がしていた。そこに偶然居合わせたヘンドリのおかげで新しい荷台を買ってもらえた。

出会い方も素晴らしかった。公園でのんびりしていた時に偶然に。いつどこで良い出会いが待っているかわからないし、例え何日間辛い日が続いても一度でも出会ってしまえばその辛さは吹き飛んでいくことを感じた。

この旅に対する確信が少しだけ深まったような気がしました。

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〜〜〜〜〜

まず

荷台が壊れた。

すぐに自転車屋に駆け込んで新しい荷台を取り付けたい。

自転車屋がありそうな店は壊れたポイントから40kmほど離れていたトリカラという街。

久々にほぼ全荷物を背負って漕いだ。

重い、、、

自転車のコントロールがちょっと難しい。

カメラを前にぶら下げることができない。

写真が撮れない。

街についていろいろマップに出てきた自転車屋を回るけど、

荷台を売っている自転車屋がない。

2件、3件回っても首を横にふられるだけだった。

荷台って結構マニアックなパーツなんだろうな。

そしてたどり着いた大きな自転車屋

窓の外から荷台が取り揃えられているのが見えた。

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閉まっていた。

道ゆく人に尋ねるとこの自転車屋はちょうど今日から1週間休業するそうだ。

女神就寝祭、だったかな、降誕祭、だったかな。

後から別の人に聴いたところによると

「日本で言うところのお盆休みのようなもの」らしい。

なんと言うタイミング。。。。。

 

急に疲れて眠くなってしまった。

まだ日暮れまでは時間があるけれど、地図で広い公園のような場所を見つけ、そこを寝場所にしようと思って移動した。

途中、スーパーでパンとチーズを買って、ベンチとテーブルのある場所で一休みする。近くに水道があるし、寝るのにちょうどいいかもしれない。

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そこにやってきた赤ん坊を抱えながら散歩している男性二人組。

彼の方から英語で話しかけてきた。

とてもフレンドリーだったので少し会話を交わした。

どこから来てどこへ行く〜的な話からいろいろ話して

自分の変な事情を理解すると「うちの庭でよければ」という提案をしてくれた。

わあ〜〜〜〜〜!!

とてもとてもありがたかった。

写真の真ん中の男性がヘンドリ。

イタリア出身でギリシャの奥さんと結婚されてここに住んでいる。

二児の父で子供は双子だ。

右の男性はこの息子のゴッドファーザーバプテスマを授けた人)だそうだ。

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寝場所に本当に困っていたのでとても助かった。。

〜〜〜

彼の庭はとても広かった。

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「こんなところでも大丈夫?」と気遣ってくれたけど、すごく快適。

シャワーはこのガーデンの散水に使うホース。

海パンを履いて野外シャワー。暑い季節だったので十分だった。

延長コード引っ張ってきてくれて、電気関連の充電もできた。

推測なんだけど、庭という、屋内と比較して劣悪な環境に人を泊めるなんて申し訳ない、という気持ちがあって旅人を受け入れたくない人もいるかもしれない。

実際自分にとっては、例えば庭に入れてもらえる時点でありがたい。使って良い水道ひとつあればありがたい。普段がもっと厳しい環境だから。

ヘンドリの柔軟さは旅人のそういう事情への理解を感じた。

庭には野菜や果物もいっぱい。

「食べられそうなものを見つけたら食べちゃって」

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夜になったら庭のテーブルでディナー。

晩ご飯にはスブラキ(肉とポテトをパンと一緒に食べる)を出前で注文してくれた。

「日本人を連れてきたなんて突然言うもんだから信じられなかったよ」

と現れたのはシリア出身のムスタファ。ヘンドリの友人。

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三人でご飯を食べた。


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英語での話になかなかついては行けなかったけれど、とても良い話の場に居させてもらった気がする。

ギリシャは観光客を受け入れるのはウェルカムだけど、居住する外国人には行政的にあまり優しくないこと。ヨーロッパのキャラクターの違い。イタリアではみんなめちゃくちゃ喋るけど、ドイツ人は全然喋らない。

イタリア人の女の子の口説き方を少しだけ教えてもらった。イタリアでは男がいろんな女に浮気するのはよくあることだけれど、女性は見え方が良くないのでそう言うことは控える傾向にあるみたいだ。

ムスタファからはシリアの厳しい現状の話を教えてもらった。自分が難民としてギリシャにきたこと。家族ごと処刑されそうになったこと。今シリアに入国しようとすると間違いなくカメラは取り上げられること。こちらにきてからギリシャの島で中国人の女性と出会ってお付き合いをしていること。

現在はUNHCRで翻訳の仕事を主にやっているそうだ。

ムスタファは自分の自転車の旅の不安を打ち明けると「大丈夫さ、ぼくの友達は9年間も旅していたよ!」と明るく励ましてくれた。

暗い庭のテーブルを囲みながら世界の広さを感じていた。

〜〜〜〜〜

翌日、さあ自転車の荷台をどうしようかと思っていたら

知っている自転車の店に連れていくよとヘンドリ。

確かにそこにお店はあった。

地図の検索では出てこない場所だった。

ここに荷台もちゃんと置いてあった。

やっぱりちゃんと足で探してみないとわからない。

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壊れた荷台。

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それが

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新しくなり

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スポークスも修理してもらった。

修理代はヘンドリが持ってくれた。

自分が旅の様子を伝えながらチップをもらって旅費にしていると言う話をしていたので

「これはぼくからのチップだよ」と。

なんと言ったら良いのか。。手を合わせてお礼を伝えた。

〜〜〜〜〜

ヘンドリは自らを「バイオロジスト」だと言っていた。それは具体的にどんな仕事をしているのだろうと興味を持っていた。

職場を見せてあげると誘ってくれた。これはとても嬉しい。とにかく現地の人の暮らしに触れるのがとても好きだ。

ヘンドリは薬局で勤めていた。

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せっかくだからここで何か買って行こうと思って歯ブラシを買おうとしたら歯磨き粉とセットでサービスで譲ってくれた。

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〜〜〜〜〜

彼の家を出発し、次の目的地のメテオラ。

ここで彼らとまた合流して写真を撮った。

ひとつのお礼になったら良いなと思う。

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ヘンドリに出会う前は2週間近く野宿状態が続いて人から孤立しているような気がしていた。

それに加えて荷台が壊れて、旅の厳しさを感じているところだった。

でも今回、こうして出会って助けてもらって

深いところで確信したのは

やり続けていれば出会えるということ。

出会えればここまでの辛かったことが全て吹き飛ぶこと。

どこにでも出会いは転がっているかもしれないこと。

災転じて福となすこと。

旅の自由さが自分の中で確信できた気がした。

彼らから受け取ったものは、このタイミングも相まってとても大きな力になりました。

本当に助かりました。ありがとう。

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