HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

ストルナレイカの子供たちに助けられる

山道を進んでストルナレイカという村に到着した時には夜になっていた。今晩はこの村の誰かに助けてもらえるだろうか。

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レストランやカフェが3〜4件あるくらい。尋ねて回るけれどなかなか英語が通じなくて相手にされない。やっぱり田舎ってそんな感じか。。

尋ね回っているうちにその中の女性がとても流暢な英語で事情を汲み取ってくれて、案内してくれた。

何やら公共の施設みたいなところの庭だ。芝はありがたいけれど、大丈夫か?と思っていたけれど大丈夫だった。地元の人公認の場所はありがたい。

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もう23時くらいだった。

村ではたくさんの子供たちが走り回っていた。小〜中学生くらいかな。

ギリシャではよく目にする光景だ。日の長い地域では遅い時間まで子供たちが遊んでいる傾向がある気がする。

子供たちはこの奇妙な旅人のことを見てくる。まあ気になるよねこんな変な人。

挨拶すると何人か英語のできる子と話が始まった。そこを起点に続々と子供たちが集まってくる。

子供たちってちょっと関係ができると大抵自ずから変なことをやってくれるのでそれを見て笑ってるだけでなんとなく交流してる感じになるのが個人的には楽だ。

あと、頭使わないでもコミュニケーションできるのが素晴らしい。側転とか逆立ちとか変なダンスやるだけで面白がってくれるのが楽で関わりやすい。

やいのやいのとワイワイした。

子供たちの方から「走ってきたから疲れた?」とか

「もう眠い?」とか気遣ってくれた。

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「明日もいるならまた会おう、その時は違うところも案内するよ」と↑の写真右のニックが提案してくれた。ニックは挙動に落ち着きがなかったけれど「もし、行きたければだけど」とこっちの都合にも配慮してくれる子だった。

ニックたちがまたこの場所に現れるのは夜だそうだ。するとここにもう一泊野営か。どうしようかなあ。

一晩眠り、朝になった。

やっぱり出発しようと思った。

が、そこで気がついた。

↓パワーバンクがない

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これは痛い。

スマホの充電に使っている。スマホは自転車を漕ぎながらグーグルマップを確認するのに使いまくるので半日程度で満タンから0近くまで落ちる。

電子機器に頼らないと困るという点に情けなさを感じるけれど、正直なところめちゃくちゃ困る。

昨日の子供たちと出会う前は使っていたことを覚えている。とするとあの子供たちとやりとりをしている最中に落としてしまったのではないか。

あたりを探しまくる。5週くらい歩いたところを探し続けた。それでも見つからない。

昨日激しい動きをした時に落としてしまって、それを子供たちが持って行ってしまったのかもしれない。

子供たちにまた会うためには夜まで待たなければいけない。出発しようと思った矢先、またここで時間を費やす気になれない。待ったとしても彼らが持っている保証はない。いやむしろ可能性は限りなく低く感じられる。

パワーバンクなら新しく購入するという手もなくはない。5000円程度で同じくらいのスペックのものが買えるかもしれない。けど5000円かあ。。自分にとっては痛いぞ。。

どうしよう。どうしよう。グルグル考える。

出発しようと決めてから4時間ほど経過した。

よし、、、行こうか。

そして自転車を漕ぎ始めた。

この村は山の終わりの部分でめちゃくちゃ坂を降りた。

ずっと降って降って14kmくらい進んだ。

その間。ずっとなくなったパワーバンクのことを考える。

そこでひとつ思った。

「明日もいるならまた会おう」と言っていたニックのこと。

足を止めた。

パワーバンクが見つからなくても、彼らに会いに行こうか。

そう思えば全然無駄にはならない。

引き返すことにした。

14kmほとんど手押し。汗だくになった。

村に到着、食堂でビールを飲みながら過ごす。

日が沈む頃になってきてニックが来た。

ニックに事情を伝えた。

するとニックは「みんなに聞いて回ってくる」と駆け出して行った。

すぐさま戻ってきた。

彼の話によると彼の知り合い(親しくはない)に盗んだ子がいるらしい。

そしてニックはこれから彼のところに行って取り返してくれるらしい。

「おれも行くよ。」と言ったけど、

ニックは「ぼくに任せて、ぼくの仕事だから」と胸に手を当てて行った。

落ち着かない子だけどこんな状況では頼もしく感じた。

村の中をぶらぶらしながらニックを待っていると別の子供グループとまた遭遇。

彼らにもパワーバンクの事情を話す。

するとその中の中学生くらいの女の子が何やら心当たりがあるとのこと。

「待ってて」と言われる。

あれ、ニック・・?と思いながらも彼女を待った。

いろんな子供がぼくのパワーバンクのために動いてくれている。

そして女の子が戻ってきて、その手元に

あったーーーーーーー!

よかったーーーーーーーーーーー! 

なんでもその女の子のいとこが昨晩落ちているパワーバンクを拾ったんだとか。

わー、やっぱり落としちゃってたのかー。。。

ありがとう。本当に助かった。

ニックはそのあとやってきて「おれが発見したんだよ」的なことを言っていた。真相はわからない。

なんにせよ助かったよ。

夜はニックともう一人のスピロスという中学生の男の子に写真が撮れそうな場所を案内してもらった。

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川を撮ってみろと言われて撮ってみたり

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村を上から見たり

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村にある大きな木が樹齢何百年だとか。

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彼らとは最後にインスタグラムを交換した。良いなこういうの。

いろいろあったけれど面白かった。子供たちのオープンさとか、こっちの事情をすごく配慮しながらも人懐っこく関わってくれる感じとか、自分の子供時代と比較するとありえないくらい人間できてるなーと思った。

そしてなんだかんだ今回救われたのは最初にニックが「明日も会おう」と言ってくれたことじゃないかと思う。あれがなければ多分自分は次の街に行っていたかもしれない。そんな何気ない一言に救われることもある。