アントニスのお母さんのマリアさんの家庭料理は最高の贅沢です。
毎食本当に美味しいものを作ってくれる。サルマダキャ、ムサカ、パスティチオ、ティロピタ、ティガニタ、ファケス、ファソラダ、トマトソース、桃ジャム、杏ジャム。全部が全部、びっくりするくらいの美味しさだ。
ぼくは大抵のご飯を美味しく食べることはできるけれど、美食家みたいに味の違いのわかる人間ではない。語彙も乏しいから、いつも「美味しい、美味しい」ばかり言ってる。
そんな自分でも頑張って彼女の味を書いてみると、なんかこう、自然体のまま、味を洗練させている。ギリシャの気候に育まれた良質な野菜の良さがそのまま伸ばされてるような。「オーガニック」な感じではなくて、ごく一般の家庭料理の範疇、なんだけど、特別うまい。
特に料理の味にとてもうるさいアントニスが「母さんの味が一番だよ」とナチュラルにいつも言っているので間違いないと思う。
食事の時以外も、マリアさんは1日2〜3回はコーヒーを淹れてくれる。家の中で僕を発見する度にギリシャ語で「〜〜〜〜〜〜カフェ?」と尋ねてくれるので即答で「Νεα(ネ=Yes)」と答える。そして小皿にこれまた自然な美味しさの、無限に食べられるクッキーや甘いパン、バクラバやフォリャを乗せて持ってきてくれる。
いつもキッチンで揺るがない手際の良さで何かを作っていて自分が様子を見ているとニコニコして食べ物の名前を教えてくれる。
前述の通り自分の料理の感想の種類は少なくて、毎回美味しいばっかり言ってるから、もはやアントニスやエヴァからは「信用できないw」と笑われているくらいなのだけど、マリアさんはいつも嬉しそうに笑ってくれる。今日も「最高の素材と最高のシェフです」とエヴァの通訳を通じて伝えたら気持ちよく笑ってくれていた。
料理の味も特別だけど、その笑顔にぼくは救われていると思う。というかそれもまた隠し味なのかもしれない。
その名に違わぬ生きる聖母。彼女のおかげでここでの滞在中、幸せを感じない日はない。ご飯を食べる前の挨拶ではいつも十字を切って「Δόξα τω Θεό(神に栄光あれ)」と言ってるのだけど神様だけでなくマリアさんに向けて十字を切る思いです。
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今日の朝は手ごねの生地にポテトを詰めてピロシキを作っていた。
ピロシキが好きな理由はコロッケに近いからだと、この中身を見て悟った(コロッケはお気に入り)
お昼と晩御飯はムサカ。
前にムサカとパスティチオではパスティチオに軍配が上がる的なことを書いたのだけど、ぼくの食べていたムサカはマリアさんではなくお姉さんのヘレナさん作だったらしい。
ぼくは今日初めてマリアさんのムサカを食べた。
うまいいいいいいいぃぃぃぃいーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
だめだ、ムサカもギリシャナンバーワンだ。やっぱり作り手で変わるね〜。マリアさんの手にかかればどんな料理も最高級になってしまう。
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家の電気のスイッチがおしゃれである。
今日もちょっとだけ一階の補修作業のお手伝い。のはずが結局大部分アントニスに助けてもらった。。
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もうこちらの夜は気温15度くらい。バルコニーではなく室内で卓を囲む。
ラストのムサカを食べた後、自ら志願して最初にムサカを焼き上げた鉄板を抱え、焦げているところを食べる。少し残ったものもパンで拭き取って食べる。エヴァが爆笑して撮ってくれたの図。
美味しいムサカの後のビールは格別でした。アントニスと二人で三つ開けました。エヴァが呆れていました。笑