新しい電源アダプタを買うべく、コソボの中で一番有力そうな首都プリシュティナまで来た道そのまま、80kmほどの道のりを戻ることにした。
べジェットとモーニングコーヒーを飲んだり、ペーヤで自転車を直したり、念のためにアダプタを探したりで出発時間が遅くなり、道中もゆっくり進んだりでこの日は首都に辿り着けずに途中で寝場所探し。
いつものようにガソリンスタンドやレストラン、マーケットの戸を開けて尋ねて回る。
なんでだかよくわからないけれど、この日はやたらとテンションが高かった。
のっけからニヤニヤした顔で挨拶して「ごめぇ〜ん😂」という感じのノリで質問し「ありがと〜😆」という感じで去っていく。奇妙なヤツになっていた気がする。が、そんな様子の自分でいるとフレンドリーに接してくれる人はたくさん現れてくれた気がする。
そんな動きをしているうちに「ぼくは地球規模の挨拶回りをしているということで良いんじゃないだろうか」と思えてきた。
なんのための挨拶というわけでもない、ただ挨拶するだけ。
旅を始めた時からずっとそうだけれど、助けを求めるときは必ずコミュニケーションが生まれる。相手からの反応はもちろんそれぞれ。迷惑そうに無視されたり、特に普通の対応だったりまちまちだけれど、その中には決して少なくない人々が「お前、面白いなw」的なノリで接してくれる。自分の問題の進展がなくても、連絡先を交換したり、食べ物を分けてくれたり、ビールを奢ってくれたり、お金をいただいたり。
物の流れにだけ焦点を当てればぼくのやっていることはただの物乞いなのだろう。
でも、その決して少なくない人たちの反応と出会う中で少しずつ思えるようになってきた。遠い国から自転車で旅をするという、多くの人にはできないことを楽しんでいる変人がこの世界に存在するという事実が伝わるだけで、相手の人生に一つの何かしらの素敵な感覚をもたらすのかもしれない。
自分の中で仮説の域を出なかった小さな希望。
毎日誰かしらに助けを求め、その相手の笑顔を見たり喜びの意を聞かせてもらったりする中で、少しずつ、少しずつ、一滴一滴の水がコップに溜まっていくように、積み上がっていって、確信できるようになるまで育ってきたように思う。
こんな人間、周りから見たら明らかに変なやつで、苦行みたいな生活を送っているけれど、ここまで8ヶ月以上もの間、元気に生きている。むしろ人生のすごい可能性へのワクワク感が日に日に膨れ上がってきている。
ならば、どうせなら、この、声をかける瞬間を、人前に現れる瞬間を、その全てが、自分が世界に何かを差し出す瞬間だと思って、ライブパフォーマンスだと思って、全力で楽しもうではないか。「おれは幸せです!」的なオーラを出しまくりながら、世界中の人々の前に現れようではないか。幸せを生きているのだし。
具体的に差し出せるものは記念写真くらいしかない。が、実のところはその、わたしの存在こそが、自分からみんなに差し出せる贈り物だと、そろそろ自分に許可を出してあげられそうだ。
この日はこれまでで一番明るい寝場所探しをした気がする。新しい友達ができて、ご飯もいただけて、ちょっとお金もいただいて、結局はホテルの一室で眠らせていただくことまで出来てしまった。
〜〜〜〜
進んだのは60kmほど。
本日は雪。ペーヤから離れる。
べジェットたちが紹介してくれた駐車場に停めてあった自転車は無傷だった。三日間も放置していて大丈夫かなと思ったけれど、コソボも穏やかな場所なんだなあ。
前輪のタイヤに側面に穴が空いていて、中からチューブがぷくーっと飛び出している状態だった。通常ならタイヤを交換するところだけれど、セルビアで出会ったロンドンからの旅人マークから授かった知恵により自分で直す。
写真は直した後のタイヤ。
タイヤを外し、普段はチューブのパンク穴に貼り付けるテープでタイヤの内側から穴を塞ぐ。タイヤの裏側は凸凹しているのでテープが完全にはくっつかないけれど、チューブを入れて空気を入れてしまえば膨らむチューブでテープを押し付けてくれる。
で、↑の写真のように膨らみは出て来なくなった。自分で直せたー!やっぱり自分の手で出来ると特別な喜びがあるね😊
続いて前のブレーキがほぼ効かなくなっていたのでブレーキパッドと一部ブレーキ用のパーツを交換してもらう。
店のおじさんが陽気な人だった。
最初は10ユーロ(1300円くらい)と言われていたのが15ユーロ(1950円くらい)になって何やらわからない言葉でちょちょっと説明していたけれど、まあ仕方がないと思って支払った。こういう微妙なやりとりがまだちょっと上手に出来ないなあ。まあ、ブレーキの状態は命に直接関わってくるのでお金をかけてでも積極的に直した方が良いと思っているし、良いだろう。
巨大なルゴーバ山が美しい街、ペーヤにお別れ。
郊外にはペーヤビールの工場。ルゴーバの山を背景にどでかく立っている。
くる時とは全然景色が違う。ルゴーバ山で過ごしていた間に下界でも雪が降っていたみたいだ。
夜になったので寝場所探し開始。マーケットやレストラン、5、6件ほど回った。
で、心当たりの場所を教えてもらうのだけど、大抵はっきりとはわからない。これは日本を出てからずっとだけれど、道案内が本当に大雑把で辿り着ける確率は自分の肌感覚では五分五分だ。「〜kmをあっちに」くらいの情報しか彼らのジェスチャーではわからない。目印となるものを尋ねようにも言語がわからない。翻訳機は古い携帯に変わってからろくに働いてくれない。グーグルマップで説明してもらおうとしてもそっちではわからない人も多い。
途中、スーパーで食べ物の買い物。パンとジュースだけ持ってレジに並んで支払いを済ませると、前に並んでいた人が1.2ユーロ(150円くらい)を手渡してくれた!多分お釣りだったのかな。もちろんお気持ちが嬉しいし、自分の状況ではもうかなり助かる。嬉しい😊
たった1ユーロちょいに全力でお礼を伝えてくる奴は奇妙かもしれない。「いやいや」と微笑んでいた。
また寝場所の相談のために、今度は大きなガソリンスタンドに立ち寄った。マーケットとレストランもついていて客が賑わっていた。
5人くらいいるレストランのスタッフさんに相談をすると彼らの間で何かを話し合って、「多分この先のホテルでタダで泊まらせてもらえるかもしれない」とアドバイスをもらった。そんなことってあるんですか?
「なんか食べていくか?」と
ハンバーグをいただいた!
ありがとうございます😊
席に座って食べていると、スタッフの友達であるお客さんと顔見知りになったりして自分の旅の話になったりして、今度はその人たちからピザやビールをご馳走になったりもした。
「ヘイ、撮ってくれよ」と言われて「オケオケーイ」と撮ってあげたら2人から2ユーロずついただいたりもした。
すげえ、投げ銭パフォーマンスしてるんじゃないか、おれ。笑
5、6人くらいの人とインスタの友達になった。
気さくな良い人たちに囲まれて楽しかった😊
ガソリンスタンドを出て近くの、例のホテルに着いた。
いや、これ、大丈夫か本当に?
シーズンオフでお客さんはほとんどいないっぽい、、が。
一度は立ち寄らずにスルーしようかと思ったけれどダメもとで相談。
中の人は若くて、こんな無茶振りをする旅人の話をゆっくり聴いていろいろ考えてくれた。そしてホテルの外の屋根付きのスペースを提案してくれた。
わあ〜雪がふる予報だったからありがたい!
さらにロビーに招き入れてくれてコーヒーをいただいた。
アルディという30代手前の青年だった。家族でこのホテルを経営しているそうだ。
お互いの自己紹介など交わしているうちに
彼のいとこだという人がやってきてまた自分の話題になり、しまいには
「彼が部屋を用意してくれたよ」とホテルの一室に泊まらせていただくことになった!
わ〜〜〜〜〜すごい!
こんなに素晴らしいところで眠れるなんて思いもしなかった!😆
靴下を洗ったり濡れた服を乾かしたり、細かいことにも手が回ってありがたい。
気持ちよく眠らせていただいた😊