HIRO EATS THE EARTH

地球まるごといただきます

エンジェル(ヴェリコ タルノヴォ Велико Търново↔︎ゴルナ オリャホヴィツァ Горна Оряховица)

自転車のリアキャリアを直すために一日奔走した。山を超えて10kmほど離れた隣町にも足を伸ばす。

自転車をなんとかする。f:id:tajimax-tj:20210303163430j:plain

ホステルのオーナーに尋ねて自転車屋に向けて出発。

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明るい街の風景を眺めながら自転車屋に向かう。

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最初に行ったのはこちら。ゴルゴナというところ。レビューが結構高評価なので期待していたけれど

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「無理。パーツも置いてない。他の自転車屋もない。」と、店員さんはぼくと目も合わせず門前払いだった。「他の自転車屋もない」というのは嘘だろう。マップ検索でも見つかるぞ。。

お次は3kmほど離れたこちら。

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いくつかキャリアが置いてあったけれど、せっかく交換するなら鉄製の頑丈なものにしたかった。が、置いてあったのはアルミ製で頑丈さはあまり感じられない。そこにお金を払うのはちょっとなあ。鉄製のキャリアも置いてあったけれど、サイズが合わない。

悩む、また新しいアルミ製のものを買うか。値段は2000円ほど。この旅の中ではとても高額な出費になってしまう。

けれどそこで買うのはやめた。

決定的だったのは店員さんから「協力しよう」という姿勢が感じられないことだった。

これまで出会ってきたたくさんの自転車好きの人やメカニックさんたちの顔を思い出すとこういう人にお金を出したくないという気持ちになってしまった。

別の自転車屋はこの街にはマップでは見つからない。隣町まで走らなければならないようだ。

そもそもこのリアキャリアというパーツがとてもマイナーで基本的にどの自転車屋にも満足のいくクオリティのものはなかなか置いていない。前回ギリシャで壊れた時もそこに悩まされてきた。

休憩。頭を休ませる。

ビールとバニツァx3の格安セット。210円くらいで楽しめる。

公園でぼーっとする。美味しいなあ。。

鳩がパイの破片目当てに集まってくる。

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一休みが済んだらいざ、隣町へ。

途中見える景色が素晴らしい😊

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ここは都市から離れた村の部分。

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10kmという距離は大したことはないのだけれど、坂道がかなりきつかった。手押しでゆっくり進んで隣町へ。

まず訪れてのはここ。

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いくつかキャリアは置いてあったけれどここにも良いものはなかった。

もう一つあった別の店にも足を運ぶけれど、そこは先の街の店舗の一つだった。全く協力的でない店員に門前払いされ、前の街で見かけた店員が車でこちらにきていて僕を見つけるなり迷惑そうな顔で一瞥をくれた。

「ちくしょう、助けてくれよ〜!」心の中で不遜な叫びをあげてしまう。もう日が傾いてきている。本格的にどうするか決めなければならない。諦めて好きでもない人からキャリアを買うか。

そう思いかけた時に「bike」と検索をかけて出てきたもう一つの店を発見。

行ってみたら

自動車整備店だった。

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自動車整備の人なら修理に関する知識が豊富だ。キャリアもなんとかしてくれる、、かもしれない。

中にいた人はなんとなく良い表情の人だった。

相談をすると初めは頑丈そうな鉄製キャリアを持ってきて「20レフ(1360円くらい)で売ってやる」と持ちかけてきた。ただ、取り付けは自分でやらなければならない。

スイス製の頑丈そうなキャリアで確かに理想的だったけれどサイズが合わなそうだった。工具類は全てホステルに置いてきたので確かめようがない。

諦めて返そうとすると、その人は

「どれ、見せてみな」という感じで修理をはじめてくれた。

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しかしアルミ製で結構壊れている場所も多くてもう使い物にならなそうなキャリアをどう修理するのか。。

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溶接が始まった。

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鉄の針金のようば棒を溶かして破損箇所を固める。

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こういうちょっとした膨らみになって折れた箇所を補強。

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折れてしまった鉄棒には穴の空いてなかった箇所に穴を開けてまた使えるように。

ぐらつきまくっていたキャリアはしっかりと固定されてまた使えるようになった。

完全復活した。

お代を支払おうとしても「いいよ」と返してくれた。

スイス製のキャリアよりもタフな作業だったはずなのに、もうなんと感謝の意を表したらいいかわからなさすぎた。

写真にも快く応じてくれた。

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名前はエンジェルさんだった。

本当に打つ手なしかと思われた矢先に現れた、本当のエンジェルさんだった。

エンジェルさんも旅が好きなようで奥のガレージにあるたくさんの旅道具を見せてくれた。

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モーターパラグライディング

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モーターボート

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バイク

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長旅ができそうな装備を備えた自転車も持っていた。

ありとあらゆる手段で旅をエンジョイしている人だった。

やっぱり、協力的な人はどこかしら共通項があるんだなあ。

「すごいですね〜!」と胡散臭いリポーターみたいな反応しか返せなかったけれど、エンジェルさんは笑顔であっちに行ったこっちに行ったと行った場所の名前を語ってくれた。

たった2000円程度の節約のため、嫌な感じの人から買いたくないという自分の妙なこだわりのため、1日時間をかけて動き回って、直してもらったと言っても新品と比べればまたすぐに壊れてしまうのかもしれない。自分の選択は非効率の極みなのかもしれない。

けれどエンジェルさんの存在はものすごく深く刻み込まれた。

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「諦めずに探し続けて良かったなあ」と満足していた。山道をまた押して歩いた。

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「自分はどこに転がっているかもわからない小さな奇跡と出会いに行っているのかもしれない」と考えた。

ライトアップされたヴェリコタルノヴォはさすが観光地という感じの雰囲気だった。

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この夜、先日宿代を渡してくれたプラメンさんからメッセージでお誘いがあって夕食を共にすることに。

お酒にサラダに肉。至福です😊

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プラメンさんのお仕事はエコノミストだと言っていた。その前は機械工場で長く働いていて、たくさんの日本製のすごい製品を見て日本にリスペクトの気持ちを持っていてくれているようだった。話していると物腰の柔らかい感じがこのヨーロッパ圏に置いては珍しく、どことなく日本人に近い気質のような気がした。

ほとんど食事に手をつけないプラメンさん。どんどん手が進む寛久。

気持ち良くなって話の中身をあまり覚えていないのだけれど、こういう何気ない出会いで一緒に笑って過ごせる人と出会えるのは幸せなことだと思った。

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「明日出発する前にまた会おう」と約束して別れた。プラメンさんからいただいた宿代で2泊目のホステル泊をした。