75kmほどの走行だった。
朝、準備をしていると昨夜の人が様子を見に来てくれた。なにやら赤と白のミサンガのようなものを腕に巻いてくれた。
そしてこんなバッジももらう。
ブルガリアの3月1日は「マルテニッツァ」という健康を祈る風習があって、ブルガリアの全国民がこんな飾りをつけている。こんな野良猫みたいな生活をしている自分も仲間に入れてもらえて奇跡を感じる。
それから「コーヒーでも飲んでいくか?」とお誘いを受ける。ふたつ返事でお家の中へ。
日本にこんな家があったらなんかのテーマパークになるな、というくらい古き良き雰囲気をたたえていた。
なんと、朝食までいただくことに!
バニツァですか?と尋ねたら似ているけれどこの形はまた違う名前で呼ぶんだそうだ。(忘れた・・・)
オグニャンさんというお名前だった
奥さんはマルガリータさん。マルテニッツァの風景に混ぜていただいていることがとても嬉しい😊
エスプレッソにミルクを入れていただく😊
こういう鉄板にビュレクを載せて
薪ストーブの火で焼く。極上だあ😊
この家はオグニャンさんのご両親の家。普段はルーマニアの近くのルセに住んでいて、年に1週間ほどこちらに来るそうだ。ブルガリアの村の家を見ていると明らかに誰もいない家がたくさんあったけれどそういう事情のお家もたくさんありそうだ。
出来上がりました😊
うまいです!!!!😊😊😊
チーズ春巻きを思い出した。
朝食をいただいた後はオグニャンさんが「ちょいと自転車見せてごらん」と家の奥の方に持っていく。リアキャリアの破損が昨日進行したことを伝えると
よし、やってやろうとばかりに
棒のまだ生きている部分に穴を開けて
復活した!!!!!!!!!!!!!
すげえええええええ!!!!!!ありがとうございます!!!!!
オグニャンさんはルセのご自宅に10台ほど自転車をお持ちのようだ。
昨日リアキャリアが壊れてその晩に出会った人が自転車好きの人だなんてまたまたすごい巡り合わせにひたすら手を合わせるしかない。
ブルガリアの村のお家の中にも興味があったので見せてもらうことに。
すごいなあ〜、何がなんだかちゃんと分からないけれどすごいなあ〜。100年前に建てられた家らしい。
終始とてもフレンドリーに接していただきました😊
良い人たちと出会えたなあ。
で、ちょうど通りがかったお二人のご近所のお友達が自転車を荷台載せて3kmほど送ってくれることに。
車窓からお別れ、オグニャンさんは「ブルガリア人は50%が良いやつ、50%が悪いやつだ、気をつけてな」とアドバイスをくれた。
マルガリータさんにつけてもらったマルテニッツァのアクセサリ。思い出深いものになった。
車でしばらく走っておろしてもらう。雪が降っていた。
偶然通りがかったマダムたちはトルコ人だった、トルコの嬉しい思い出話に花が咲いた😊
山道を一人で走る。人気がない。雪が結構降っているのでほとんど写真を撮らない。
途中見つける使われているんだかいないんだか分からないバス停でトイレや水飲み休憩。
結構長々と山道を走った。頼りにしていたマップの歩行者ルートは途中で草ボーボーで途切れてしまったりして引き返したり。手足が冷える。
車道に出た頃に雪がやんできた。
日が沈み切った頃にヴェリコ・タルノヴォ到着。ここはブルガリアの景勝地として目玉の一つだそうだ。
ヴェリコタルノヴォは観光地だからか、結構整った都市だった。デカトロンやでかいホームセンターに大手スーパーも一通り揃っている。
さあ、寝場所を探さねば。都市は大変だぞ〜
というところで
リアキャリア破損
一番要として支えている鉄棒が折れた。
こんな時に〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!
荷物はなんとか載せられるけれど強い衝撃を加えてしまうと完全に壊れてしまう。
とりあえず修理は明日考えるとして、まずは寝場所を探す。
自転車に乗らないで歩いて街を彷徨う。
市場。昼間は活気がありそう。
寒いし、都市だし、もう夜だし、自転車が壊れたし、なかなか追い込まれている。でも「笑っていよう」と思った。笑ってノックを続ければ何かしらに辿り着くことができるイメージが自分の中にはあった。
何人かの人に声をかける。ヨーロッパの人は「強面だなあ」と思うことが多いがちゃんと話せばすぐにふわりと優しい雰囲気で話し出す人も少なからずいる。
「泊まる場所の協力はできないけれど、お腹空いてない?」と尋ねてくれてパンとチキンを差し出してくれた男性がいた。ありがたく頂戴する。
さらにセンターに向かって歩く。
たまたま目があった男性がなんとなくオープンな雰囲気だったので自分の状況の相談をした。彼からは「警察署に行ってみると良い」と教えてもらった。聞くところによるとシェルターのような場所に案内してもらえることがあるらしい。
ついでにこの風変わりな人間に興味を持ってくれたようだったので一通り説明すると、彼は日本がとても好きであるようだった。自分の様子を見て「君は幸せそうだね」と言ってもらえたことが嬉しかった。
一通り立ち話をして彼と別れる。
辿り着いた警察署はこんな感じ。
フロントの係の人に声をかける。
「お金のかからない場所で眠りたい」だなんてわがままも極みのような相談に対して警察はどんな対応をするのかとちょっとハラハラしたけれど、結構ナチュラルに「あっちの公園でならテントを貼って眠れると思うよ」と案内してくれた。
お〜、警察官のお墨付きなら安心だ。
ひとまず眠る場所は決まった。緊張して疲れた。
スーパーでコーラを買った。自分にとってのタバコみたいなリラックス方法だ。
スーパーを出ると、さっきの男性が立っていた。
あれれ、お家に帰ったはずでは?
「警察の人はなんて?」
「公園で野宿ができるって言ってました」
すると彼はちょっと待っててと近くのATMに行って戻ってきて
50レフ(3400円くらい)を渡してくれた。
「これでホテルに泊まって朝食も食べなさい」
わあああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
ありがとうございます!!!!!
プラメンさんという人だった。繊細な優しさのこもった雰囲気が印象的な人だった。
プラメンさんは息子さんがロンドンで俳優の仕事をしているということで、楽しんでビデオ通話で話させてもらった。息子さんもこの旅人に興味を持ってくれたようで「ロンドンにきたら連絡してよ!僕が君を有名にしてあげるぜ!」とノリノリだった😊
道端での立ち話からお助けいただいてさらに出会いも生まれて、ああやっぱり幸せの種はそこらじゅうに転がっているんだろうなあと深く印象に残った出来事だった。
ヴェリコタルノヴォの安いホステルについては一つ心当たりがあったのでそこに向かう。
途中目にするヴェリコタルノヴォの風景をそんなに楽しむ余裕はないけれど、もっと整った旅ならこの美しさを楽しめるんだろうなあ。
宿泊先に選んだのはここ。
ホステルモステル。結構整った安宿としてバックパッカーの間で有名な場所。
整ったドミトリーでこの日濡れた衣類を乾かす。
キッチンで買っておいた食材で調理。
いただいたパンをホステルのトースターで焼いて、冷えたチキンもフライパンで焼いて、あたたかい夕食を楽しませていただいた。
楽じゃないし、人に助けてもらっていることがほとんどの、何も褒められるようなところもないように見える旅だけれど、出会ってきた人の笑顔を思うと、こんなんでも続けているということが何かしらの希望になっていくのかもしれない。
まだ自転車の問題が残っているけれど、明日も世界に飛び込んでみよう。