目的地の決定はまだできない。レオの大使館の友達によれば、おそらくルーマニア入国に際してワクチン注射が必要になるかもしれない、そしてこれから世界中でワクチン接種が必要になってくるかもしれない、ということだった。自分の知る限りではジョージアがまさに今、そんな措置がとられている。
PCR検査もワクチンも可能な限り避ける。出来るだけ生まれたままの状態でこの人生を過ごしたい。
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みんなゆっくりのそのそと寝起きした。
アントンが一緒に写真を撮ってくるので、せっかくだから昨日泊めてくれた人たちと記念撮影。
アントンはぼくの身につけているアクセサリーの石が気になったようで、自分のコレクションを色々と見せてくれた。販売もしているのでおすすめされたけれど、まあとにかく荷物を減らしたい昨今なのでいただく理由はない。
ただ、コレクションは見させてもらった。
ヌートリアを飼っていた。
ウサギ
急に霧が立ち込めてきて冷えこんだ。太陽がかなり減光されて月のようになっている。
レオがカウチサーフィンで発見した人の家に泊まりにいくことに。
レオがメッセージのやりとりをする限りでは、「泊まらせてあげる代わりに夕食を作って欲しい」と、これまで旅をしてきて初めてのリクエストをいただいた。
この日、訪問したのはオランダ出身のミシェルさんとフォリピン出身の奥さん、そして1ヶ月の赤ちゃんと3人で暮らしていた。
ミシェルさんは本当によく喋る人だった。英語が早すぎて自分の力では聴き取れない。平然と対応できるレオ。自分はほぼ聴いているだけだった。いや、言葉がわかっても基本ただ聴いているだけだけど。
ぼくはいろいろな人から喋らない人としてよく見られるが、自分的にはみんな喋りすぎだなぁとよく思ったりもする。笑
自分的には生まれてまもない人間は宇宙人のような気がする。
レオのあやし方を見ていると改めて南米って明るい表現が自然と体に染み込んでいていいなぁと思う。
夕食作り。調理は全てレオさん任せ。パスタを作ってくれた。
とりあえず一品料理だけで大丈夫なのか心配だったけれど一応夕食としては成立したようである。
その後は日をまたぐまでずっとミシェルさんと喋り続けていた(主にレオが)。
ミシェルさんは異国の文化に触れるのがとても好きで日本やアルゼンチンのいろいろを質問してきたが、自分が答えてあげられるものはささやかなものだった。
ひとつだけ印象的だったのは日本という国の貧困についてだった。
ミシェルさんの認識では日本は貧困というものはほとんど存在しない国であるようだ。ミシェルさんにかぎらず、外から認識される日本というのはテクノロジーが発達していて、東京はとんでもなくでかいところで、経済的にもゆたかである、という感じになる。
が、そんなことは全然ない。未だに教育や職業選択の自由を享受できない人はたくさんいる。子供の7人に1人は相対的貧困状態にいる。見た目だけ豊かでも結局心がハッピーでないという状態は無数に存在する。そして、なにより厄介なのはその種の貧困状態は外から理解されづらいということだ。理解されづらいということは救いの手がなかなか差し出されない。その象徴がこういった外国人からの理解だろうなと思った。この世界は本当に誤解で満ち溢れている。
なんにせよ、自分の国のことをもっと出会う人につたえられるようになりたいなぁとぐっと思った日だった。